i-Con機器は借りて覚える!西尾レントオールが5つのレンタル活用術を伝授
2019年1月21日

管理人のイエイリです。

国土交通省が推進する「i-Construction」は、建設会社に技術の活用だけでなく、経営戦略にも影響を及ぼし始めています。

i-Conに使うICT建機や測量機器は、自社で購入する経営戦略もありますが、i-Con初心者としてはまず、建機レンタル会社から借りてやってみるという考え方もあります。

そこで、全国各地に営業拠点を持つ西尾レントオール(本社:大阪市中央区)でICT建機などを担当する通信測器事業部長の北山孝取締役と同事業建設ICT営業課の山口秀樹課長を直撃。i-Con導入における5つの“建機レンタル会社徹底活用術”を取材しました。

大阪府吹田市にあるICT機器のショールームで。西尾レントオール 通信測器事業部 建設ICT営業課の山口秀樹課長(左)と通信測器事業部長の北山孝取締役(右)(写真:家入龍太)

大阪府吹田市にあるICT機器のショールームで。西尾レントオール 通信測器事業部 建設ICT営業課の山口秀樹課長(左)と通信測器事業部長の北山孝取締役(右)(写真:家入龍太)

西尾レントオールのi-Con関連製品をまとめたカタログ。かなりの分厚さだ(写真:家入龍太)

西尾レントオールのi-Con関連製品をまとめたカタログ。かなりの分厚さだ(写真:家入龍太)

同社が考えるi-Con経営戦略の要点は次の3つです。

・ICTの利便性を生かした施工計画や施工管理

・3D設計データの作成・変更

・ICT建機システムの理解と操作

これらを自社の能力として身に着けることで、現場の安全性向上、社内の多様な才能の発掘と有効活用、若手や女性の活躍、ICTによる新たな交流、そして先端技術への挑戦による社内のモチベーションアップなどが実現するとのことです。

同社のi-Con関連製品・サービスをまとめたカタログだけでも、1cm程度の厚みがあります。それだけ、バラエティーあふれるICT建機やシステムがあるとというわけです。では、お二方が説く、レンタル会社の徹底活用術を順次、ご紹介しましょう。

活用術【1】 おいしい技術をレンタル会社から“拝借”する

同社のカタログには、3Dマシンコントロールや3Dマシンガイダンスを搭載したバックホーやブルドーザーなどのICT建機や、ドローン(無人機)、3Dレーザースキャナーなどの測量機器があふれていますが、見逃せないのは

ナ、ナ、ナ、ナント、

NETIS登録技術が23件

もあることなのです。(2019年1月18日現在)

3Dマシンガイダンス付きのブルドーザー(NETIS:SK-120008-VE)(以下の写真、資料:特記以外は西尾レントオール)

3Dマシンガイダンス付きのブルドーザー(NETIS:SK-120008-VE)(以下の写真、資料:特記以外は西尾レントオール)

3Dマシンコントロール付きのモーターグレーダー(NETIS:HK-100045-V)

3Dマシンコントロール付きのモーターグレーダー(NETIS:HK-100045-V)

NETISとは、国土交通省が新技術を活用するために設けた「新技術情報提供システム」のことです。中でも有効性の高い「活用促進技術」に認定されると、ユーザーにも様々なメリットがあります。

例えば、ブルドーザーでは珍しい「3Dマシンガイダンス」を搭載したブルドーザーや、3Dマシンコントロールを搭載したモーターグレーダーがあります。これらはNETISの「活用促進技術」の認定を受けているので、借りて使うだけで総合評価方式の技術提案や工事成績評定で高い得点が期待できます。

また、NETISに登録されていないICT建機では、日本で珍しい小型グレーダー「ボブキャット T750」や、工事現場を掃除する「スイーパ-」があります。これらは、無人で自動的に稼働する機能も備えています。

このほか路面に墨出しを行うマシンや高所から3Dレーザースキャナーで計測するための伸縮ポールや、建機との接触事故を防ぐためのシステムなどもあり、適した現場の工事で借りて使うと、“現場の創意工夫”として発注者から評価されたり、自社の生産性向上を高めたりすることもできそうですね。

日本で珍しい小型グレーダー「ボブキャット T750」

日本で珍しい小型グレーダー「ボブキャット T750」

工事現場を掃除する「スイーパ-」

工事現場を掃除する「スイーパ-」

路面にマーキングを行うマシン

路面にマーキングを行うマシン

3Dレーザースキャナーで高所から計測するための伸縮ポール(写真:家入龍太)

3Dレーザースキャナーで高所から計測するための伸縮ポール(写真:家入龍太)

活用術【2】 ICT施工のコンサルティング機能を活用する

西尾レントオールには、関西国際空港の2期工事以来、様々な建設会社とともに培った約20年にもわたる経験やノウハウがあります。ICT建機などを借りるだけでなく、コストパフォーマンスの高い施工計画づくりなどの“コンサルティング”を行ってもらえるとのことです。

例えば、ICTブルドーザーの導入で、造成高さや法面の角度などを示す仮設の標識である「丁張り」がなくなった場合、従来のように一定方向だけにブルドーザーの動かし方をしていると損です。これを“縦横無尽”の動きに変えるアドバイスを行ったことで、盛り土の工期が61日間から36日間に短縮した例もあるとのことです。

ICT建機ならではの“縦横無尽”な動かし方によって、盛り土の工期が61日間から36日間に短縮した例

ICT建機ならではの“縦横無尽”な動かし方によって、盛り土の工期が61日間から36日間に短縮した例

また、一般のブルドーザーをICTブルドーザーに変えたときは、周りで稼働するダンプトラックや油圧ショベルの能力が不足して、非効率になってしまうこともあります。

そこで主役である高価なICTブルドーザーを休ませないように、脇役のダンプや油圧ショベルの能力を高めることで、施工能力を従来の270m3/日から450m3/日へと高めたこともありました。

主役のICTブルドーザーを休ませないよう、脇役のダンプトラックや油圧ショベルの能力を高めることで施工能力を大幅に高めた例

主役のICTブルドーザーを休ませないよう、脇役のダンプトラックや油圧ショベルの能力を高めることで施工能力を大幅に高めた例

このほか、中小企業がICT施工を導入するときに使える「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」、「省エネルギー型建設機械導入補助事業」、「人材開発支援補助金」などの活用方法もアドバイスしてもらえます。

活用術【3】 教育施設やOJTでの支援で社員を強くする

西尾レントオールでは、ユーザーに対して全国8カ所にある「テクノヤード」や、奈良県内にある「関西機械センター」で、ICT施工の座学や実技の講習を行っています。

また、現場で同社のICT建機を活用する際には、ドローンなどによる起工測量や3Dデータの作成、ICT重機へのインストールなど一連の作業をサポートする体制も備えています。

これらを単なる“外注”として利用するだけではもったいないですね。サポートしてもらいながら、次回は自分たちだけでできるように、しっかりと作業のやり方を見て、“盗む”ことを心がけたいものです。

奈良県天理市にある関西機械センター。様々なICT建機が用意されており、ICT施工を体験できるようになっている

奈良県天理市にある関西機械センター。様々なICT建機が用意されており、ICT施工を体験できるようになっている

活用術【4】 異業種コラボの仲介役として活用する

建機レンタル会社は、国内外にある最先端の製品についての情報収集や、建設会社とのコラボレーション、製品開発などで、様々な企業や団体とのつながりがあります。

ICTのフル活用が求められる最近の建設業界では、異業種との交流やコラボが欠かせません。そんなときに、建機レンタル会社は思わぬ仲介役を果たしてくれる可能性もありそうです。

様々な企業、団体との接点を持つ建機レンタル会社は、異業種コラボレーションの仲介役としても活用できそうだ

様々な企業、団体との接点を持つ建機レンタル会社は、異業種コラボレーションの仲介役としても活用できそうだ

活用術【5】 “身軽なi-Con”のパートナーとして利用する

今後、i-Conの対応工種が増えてくると、日ごろはあまり使わない種類のICT建機や測量機器などが必要になる場合も多くなるでしょう。そんなとき、活用頻度の低い建機などはレンタル会社から借りて使うことも、有効になりそうです。

というのは機器の置き場や維持費、管理する人員、税金などをレンタル会社に任せることで、

身軽なi-Con

を実践できるからです。

つまり社内で抱えるべきリソースを、建機レンタル会社に“外部化”することによって、稼働率の低い建機や機器のコストを削減するわけです。

こうした活用のためには、レンタル会社があたかも社内組織の一つのようになるように、密接な連携関係を構築しておくことが求められそうですね。

大阪府吹田市にある西尾レントオールの営業所。社内組織の一つのように活用する戦略もありそうだ(写真:家入龍太)

大阪府吹田市にある西尾レントオールの営業所。社内組織の一つのように活用する戦略もありそうだ(写真:家入龍太)

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