東洋建設が埋め立て中の水中地形を4D表示! 土砂投入位置と量から堆積形状を算出
2024年3月13日

管理人のイエイリです。

海面の埋め立て工事で使われるリクレーマー船は、土運船によって運ばれてきた土砂をベルトコンベヤーによって埋め立て地に投入する作業を担います。

当然、土砂を投入する部分は水がにごるので、埋め立て中の水中地形は見えません。そこで、これまでは作業員が「レッド」という重りを使って各部の水深を測る方法が一般的でした。

大型リクレーマー船「第二東揚号」による埋め立て作業(以下の写真、資料:東洋建設)

大型リクレーマー船「第二東揚号」による埋め立て作業(以下の写真、資料:東洋建設)

こうした不便を解消しようと、東洋建設は水中の施工状況をリアルタイムで把握できる施工管理システム「TORe-4D(トーレフォーディー)」を開発し、同社の大型リクレーマー船「第二東揚号」に搭載しました。

土砂を投入中の水中地形を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

リアルタイムで4D表示

できるのです。(東洋建設のプレスリリースはこちら

土砂投入中の水中地形を4D表示したところ。寒色系は深く、暖色系は浅い部分を表す

土砂投入中の水中地形を4D表示したところ。寒色系は深く、暖色系は浅い部分を表す

というのは、埋め立ての「入力」となる土砂の投入位置と投入量を測り、そのデータから水中の堆積地形の3D形状を計算しているからなのです。

「TORe-4D」は、船体とスプレッダー(ベルトコンベヤー付きアーム)の先端部に高精度のGNSS(全球測位衛星システム)を搭載し、正確な土砂投入位置を常時、計測します。

同時に、ベルトコンベヤーにはレーザー計測装置とスピードモニターが付いており、投入する土量を常時、測ります。

「TORe-4D」のシステム機器配置図。GNSSで土砂投入位置を測り、レーザー土量計測装置で土砂投入量をリアルタイムに計測する

「TORe-4D」のシステム機器配置図。GNSSで土砂投入位置を測り、レーザー土量計測装置で土砂投入量をリアルタイムに計測する

そして、事前に現場試験で計測した含水比や、投入後に沈下する量(スランプ)などの土質条件を組み合わせて、単位時間あたりの堆積形状を算出するのです。

さらに投入した位置が水中か水面上かといった施工情報を複合的に組み合わせることで、埋め立て中の地形を4Dで可視化します。

土砂投入量から水中の地形を推定する独自の仕組みには、海洋埋め立て工事のスペシャリストである

東洋建設のノウハウ

や技術力を感じさせますね。

TORe-4Dによる施工状況

TORe-4Dによる施工状況

このシステムが開発されたことで、埋め立て作業の初期段階から、各部に均等に土砂を投入できるようになりました。水中地形に凸凹ができないので、埋め立て水域を囲む土留め壁などに与える「偏土圧」の影響が減り、施工がより安全になります。

また、作業員が行っていた水深計測作業も省力化できますね。

東洋建設では今後、精度の向上やシステムのアップデートを進め、生産性向上や働き方改革を進めていく方針です。

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