管理人のイエイリです。
山岳トンネルの工事現場では、坑内に資材や工事用車両が止まっているほか、アーチセントルと呼ばれる内巻きコンクリート打設用の移動式型枠があるなど、狭いところもあるので車両の運転には一段と注意が必要です。
大成建設は、そんな悪条件の山岳トンネル現場での省人化や生産性向上を図るため、10t積みダンプトラックを使った実証実験を行いました。
上の写真がその実験風景です。アーチセントル内の狭い部分をダンプが通過していますが、運転手は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
手放し運転
なのです。(大成建設のプレスリリースはこちら)
大成建設は2021年に、トンネル坑内で建機の自動運転を行うため「T-iDraw Map」というシステムを開発し、クローラーダンプによる自動運転に成功しました。(2021年6月15日の当ブログ参照)
トンネル内ではGNSS(全地球測位システム)の電波も届かないので、車両に搭載したセンサーで周囲の地図を作成しながら自己位置を推定する「SLAM」という技術を使っています。
今回は、より実用性の高いダンプトラックにこのシステムを搭載し、国土交通省国土技術政策総合研究所の実大トンネル実験施設と、大成建設が施工中の利賀トンネル(2工区)工事(発注者:国土交通省北陸地方整備局)の現場で自動運転の実証実験を行ったものです。
その結果、実用的な速度である
時速20kmで自動運転
が行えたほか、アーチセントルなどの狭い場所では減速して安全に走行できることが確認されました。
大成建設は施工中のトンネル現場に「T-iDraw Map」を活用した建機や工事用車両の自動運転技術を順次、導入していく方針です。
長いトンネルでは、坑口から掘削最前線の切羽まで数キロメートルに及ぶこともあります。坑内や現場の敷地内は自動運転を活用し、現場外の公道は運転手が運転することで、省人化や働き方改革が実現できそうですね。