よいデザインを低価格で!オランダで世界最長の3Dプリント橋を建設
2019年5月17日

管理人のイエイリです。

海外では、モルタル状の材料で造形する「3Dコンクリートプリンター」による建設プロジェクトが、建築・土木分野で続々と立ち上がっています。

特にオランダでは、政府がこの分野に力を入れていることもあり、これまでも「世界初の自転車橋」や3Dプリン専業の「サイビー・コンストラクション社」、「世界初の鋼製3Dプリント橋」など、当ブログでも何度も取り上げています。

そこに、またまた新たなニュースが飛び込んできました。今度は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

世界最長の3Dプリント橋

 

の建設を始めたというのです。

オランダ・ナイメーヘンに建設される世界最長の3Dプリント橋の完成予想図(以下の資料:Michiel van der KleyのVimeo動画より)

オランダ・ナイメーヘンに建設される世界最長の3Dプリント橋の完成予想図(以下の資料:Michiel van der KleyのVimeo動画より)

橋は30のパーツに分けて造形し、緊張ケーブルによって結合する

橋は30のパーツに分けて造形し、緊張ケーブルによって結合する

この橋はオランダの公共事業・水管理局(Rijkswaterstaat)とナイメーヘン(Nijmegen)市によって、同市内に建設されるものです。

数式などを利用して形状を生み出す「パラメトリックデザイン」によって設計された橋は、30個のパーツに分けて作られ、その造形作業は2019年5月13日、2つの建設会社(BAM社とWeber Beamix社)が協同で設立した工場で始まりました。

しかし、これだけの規模の橋を3Dプリンターで建設した例はありません。そこで実橋に先だって、1径間分の「テストブリッジ」が作られ、アイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology)で様々なテストが行われました。

テストブリッジの造形作業

テストブリッジの造形作業

モルタル状の材料を吹き出すノズル。付着した余分な材料は手作業で丁寧に取り除く

モルタル状の材料を吹き出すノズル。付着した余分な材料は手作業で丁寧に取り除く

部材同士の結合部分

部材同士の結合部分

部材を締め付ける緊張ケーブル

部材を締め付ける緊張ケーブル

複数のパーツを接合し、空洞部分に緊張ケーブルを入れて締め付けた後、載荷試験が繰り返し行われました。

橋桁のいろいろな部分にセンサーを取り付け、ひずみやねじれ、破壊の有無などを確認したのです。

載荷試験の風景。橋桁の上部2カ所にジャッキで荷重をかけている

載荷試験の風景。橋桁の上部2カ所にジャッキで荷重をかけている

様々な部分に設置されたセンサー

様々な部分に設置されたセンサー

繰り返し載荷による橋の挙動などのデータ

繰り返し載荷による橋の挙動などのデータ

テストの結果、クラックやたわみ、破壊など

 

テスト橋に異常なし

 

ということが確認されました。

今回の橋はパラメトリックデザインによって複雑な曲面にデザインされ、桁断面の内部にも多くの空洞が設けられていますが、3Dコンクリートプリンターは1日に1ブロックの割合で作ることができました。

また、型枠を必要としないので産業廃棄物が少なく、使用するコンクリートなどの分量も設計データから正確にわかるので「残コン」の発生も少なくなりと言った具合に、「サステナビリティー」にも優れています。

デザイン、価格、環境と3拍子そろった3Dコンクリートプリンターは、建設業界でますます活用されていきそうです。

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