管理人のイエイリです。
治水や利水などの機能を備えた多目的ダムでは、効率的な発電を行うため、流入水量を高精度で予測することが重要です。
これまではアメダスによる地上雨量と、気象レーダーによるレーダー雨量を用いて解析雨量を算出し、ダム流入水量を予測してきました。
解析雨量データはとても正確ですが、過去1時間の雨量から30分おきに算出されるため、ダム流入水量に誤差が出ることが課題でした。
そこでディー・エヌ・エー(以下DeNA)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで降雨量データを予測
することに成功したのです。(DeNAのプレスリリースはこちら)
この技術は、DeNAが日本工営、長岡技術科学大学、長岡工業高等専門学校と行った、多目的ダムにおける利水運用の効率化についての研究で使われたものです。
※国の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」のプロジェクトの1つとして、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託。
気象庁の解析雨量を「正確な値」と見立て、レーダー雨量データをAI(人工知能)の画像解析技術で補正することで、解析雨量と同程度の正確さをもったデータを5分単位で求めることができるようになりました。
高精度の降雨量を多頻度で得られるようになったため、将来は
ダム発電量の増加
など、運用の効率化が期待できそうです。
自然を相手にするダムの運用は、長年の経験と勘が重要な仕事ですが、これからはAIによるデータやリスク解析に基づいた操作の意思決定が行われるようになりそうですね。
今回の台風19号では、いくつかのダムが満杯になり、緊急放流を余儀なくされました。その半面、台風が来る前に水位調節がされていなかったという指摘もあります。
こうした中長期の流入量予測や放流による河川の水位予測なども、事前にシミュレーションするなどソフトな対策で、“流量の平準化”を実現できると、洪水の被害も軽減されるのではないでいしょうか。