管理人のイエイリです。
建設業界でのドローン(無人機)活用は、国土交通省が推進する「i-Construction」施策の花形工種、ICT土工で使われる比較的大型ものだけでなく、手のひらに載るような超小型ドローンも進化しつつあります。
Liberaware(リベラウェア。本社:千葉市中央区)が開発した設備点検用ドローン「IBIS」もその1つです。サイズは190×180×50mmと小型で、重量はバッテリー込みで170g、そして最大12分間も飛行できるのが特徴です。
上の動画を見てわかるように、その用途は、配管や機械が密集するプラントや煙突、タンクの内部など狭いところですが、このほど、さらに困難なミッションに挑戦しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
JR新宿駅の天井裏
を飛行し、動画を撮影することに成功したのです。(JR東日本スタートアップのプレスリリースはこちら)
この取り組みは、JR東日本スタートアップ(本社:東京都新宿区)が様々なベンチャー企業と共同して駅や鉄道などの資源を利用して新ビジネスを開発する「JR東日本スタートアッププログラム」の一環として、Liberawareと共同で行った実証実験です。
実験では、配管や電線などが密集する駅舎の天井裏でドローンを飛行させ、どのスペースまで飛ばせるか、撮影した映像は点検に使えるレベルのものなのかなどを確かめることを目的としました。
さらに、ドローンで撮影した動画をコンピューターで処理することにより、
天井裏を点群データ化
して、各部寸法の計測や現況図面を作成することにも挑戦したのです。
その結果、ドローン活用の有用性や業務効率化の可能性を確認できました。
今後はより精度を高めるための検証を行い、「高い」「狭い」「危ない」場所の点検作業で、作業負担軽減や生産性向上につなぐ新たな点検手法の確立を目指すとのことです。
駅舎の維持管理や改良工事は、電車の終電から始発までの限られた時間にしか行えません。しかし、これまでは天井板を1枚ずつ外して少しずつ点検していたので、大変な手間ひまがかかっていました。
地下鉄施設の維持管理では最近、超小型ドローンの活用が増えています。2020年2月には、Osaka Metroとアイ・ロボティクス(本社:東京都新宿区)が大阪地下鉄の駅舎天井内を撮影した例や、東京メトロとベイシスコンサルティング(本社:東京都文京区)、東京大学大学院が半蔵門線のトンネル上部を点検した例が発表されています。
今回は、撮影した動画から点群データを作成したという点が、画期的と言えそうですね。