管理人のイエイリです。

山間部や海岸沿いなど、落石や崩落のリスクが高い現場では、毎日の地形変化を確認することが欠かせません。

しかし、現場まで足を運び、目視や写真で変化を追い、記録するには大変な労力がかかります。

また、自然の地形で起こる落石の移動や崩落などを日々、定量的に把握するのは不可能と言っても過言ではありません。特に電源や通信網がない現場ではなおさらです。

ところが今、その常識を変える取り組みが始まっています。SORABOT（本社：横浜市都筑区）と八千代エンジニヤリング（本店：東京都台東区）は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

自家発電装置を備えた

「オフグリッド型ドローンポート」を使い、ドローンによる地すべり災害区域の遠隔・自動監視の実証実験に成功したのです。

オフグリッド型ドローンポートによる斜面監視の概念図（左）と、太陽光パネルを備えたドローンポート（右）（以下の資料、写真：SORABOT）

この実証実験は、八千代エンジニヤリングが能登半島輪島地区の地すべり災害区域で実施した調査業務の一環として、2025年8月21日から10月3日まで行われました。

現場にはドローンポートを常設し、電源はソーラーパネルとポータブルバッテリーでまかないました。

さらに衛星通信によって通信環境を確保し、遠隔操作や取得したデータの送信が行えるようにしました。

毎朝6時30分になると自動でドローンが飛び立ち、斜面をスキャンして帰還します。取得データはクラウドに送信され、AIが自動的に前日との差分を解析します。

地形変化をとらえたオルソ画像。上の前日画像と比べると、下の当日画像に落石が発生していることがわかる

そして、驚くべきはそのデータ処理のスピードです。生成されたオルソ画像や3D点群データの結果は、災害現場での施工を担当する大林組が毎朝8時に行う

朝礼で報告・確認

が行われたのです。

わずか1時間半で最新の地形変化を把握できるため、前日との地形差分を関係者が迅速に共有し、その日の作業計画に潜むリスクを未然に洗い出すことが「日課」として定着しました。

実際に落石を検知し、3Dデータで崩落箇所や規模を正確に共有したことで、大型土のうの設置など迅速な対策にもつながったこともありました。

このオフグリッド型ドローンポートは、外部電源が不要なため山岳地帯や海上など、これまで監視が難しかった場所でも設置できます。また、内部温度の自動調整や盗難対策カメラも備えており、長期安定運用を実現します。

災害現場の監視を人の手から解放し、電源のない場所でも自動で安全を見守る「オフグリッド型ドローンポート」は今後、防災・インフラ管理のDX（デジタルトランスフォーメーション）を実現していきそうですね。