大林、東急建、西松がトンネル工事用AIを続々発表! 施工の自動化へ着々と進む
2021年3月23日

管理人のイエイリです。

自然の地盤を相手にするトンネル工事は、ベテランの経験と勘が大きくものを言う世界です。

例えば、全面に土を削り取る回転式カッターが付いたマシンで円筒状のトンネルを掘る「シールド工法」では、シールド機の制御があります。

シールド機の進行方向を変えるとき、オペレーターはシールド機工法にリング状に配置された複数のジャッキのどれを動かすかを、周辺地盤の硬さやシールド機の向き、位置、機械負荷などを総合的に判断しながら決めていきます。

このとき、シールド機とトンネル壁となるセグメントのすき間が不足すると、セグメントに無理な力がかかり、ひび割れなどが発生してしまいます。

シールド機の方向制御イメージ。カーブ外側のジャッキを突っ張るように動かしてシールド機の方向を変える(資料:大林組)

進行方向とジャッキの操作例(資料:大林組)

ベテランのシールド機オペレーターが減っていく中、人間の技をAI(人工知能)に移植する取り組みが活発になっています。

ナ、ナ、ナ、ナント、

大林組と東急建設が同じ日

に(2021年3月22日)、それぞれ独自のAIシステムを発表したのです。(大林組のプレスリリースはこちら東急建設のプレスリリースはこちら

大林組が開発した「シールドAI自動方向制御システム」を運用する現場(資料:大林組)

大林組が開発したのは、シールド機の自動運転を行う基幹技術となる「シールドAI自動方向制御システム」です。

オペレーターがジャッキ操作を行う際に確認する数十項目をデータ化し、AIに学習させることで、オペレーターと同様のジャッキ操作を行えるようにしました。

またシールド機とセグメントのすき間も考慮するので、無理な力がかかる操作をなくし、セグメントリングのひび割れや漏水発生のリスクが減ります。

大林組ではこれまで5台のシールド機にこのシステムを搭載し、オペレーターと同様の判断ができることを確認しました。

一方、東急建設はAutomagi(本社:東京都新宿区)、協立電機(本社:静岡県静岡市)と共同で、「シールドマシンAI掘進システム」を開発しました。

シールド機でトンネルを掘る場合、カッターの前面空間「切羽」の土圧や泥水圧の管理も重要です。圧力が高すぎると地表面が隆起し、低すぎると沈下が起こるからです。

そこでこのシステムは、シールド機の方向制御だけでなく、切羽の圧力調整にかかわる掘削土砂排出用の「スクリューコンベア」の回転数制御も、AIで自動化することを目指して開発されました。

超軟弱な粘土質の層がある東京都内の現場で実証実験を行ったところ、極めて難しいジャッキ操作や圧力調整を高い精度で予測することができました。

「シールドマシンAI掘進システム」の運用イメージ(資料:東急建設)

東京都内の現場で行った実証実験の様子(写真:東急建設)

システムの画面上に表示されたAI予測データと実際のデータ(資料:東急建設)

大林組、東急建設ともシールド機の自動運転に向けて、大きな一歩を踏み出したと言えそうです。

このほか、西松建設はAIによって、山岳トンネルの

覆工コンクリートの表層品質

を自動評価する「A.E.s.SLiC(イースリック)」というシステムを開発しました。(西松建設のプレスリリースはこちら

タブレットやデジタルカメラなどで撮影した覆工コンクリート写真をシステムに入力すると、(1)はく離、(2)気泡、(3)水はしり・砂すじ、(4)色むら・打重ね線、(5)施工目地不良、(6)検査窓枠段差の6項目を、AIが自動評価するものです。

これらの評価指標は、2018年に国土交通省東北地方整備局が試験導入した「表層目視評価シート」に基づいています。

写真に写ったコンクリート面の凹凸やエッジ、きめ、粗さなどを視認しやすくするため、「VIS」という画像処理を行う機能も付いています。

「A.E.s.SLiC(イースリック)」の構成(資料:西松建設)

覆工コンクリート壁の評価に使われる指標(資料:西松建設)

システムの画面(資料:西松建設)

大林組ではシールド工事の自動化する「大林インテリジェントシールド(OGENTS)」、西松建設では山岳トンネル工事の省力化や無人化を目指した「山岳トンネルAIソリューション」をそれぞれ開発中です。

経験工学の代表選手だったトンネル工事も、AIの進化とともに以前は考えられなかった、施工や施工管理の自動化が可能になりつつなってきましたね。

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