大林組が360度写真とAIで進捗管理を自動化! 中間払いも楽に
2021年4月15日

管理人のイエイリです。

昼間に撮影した工事写真を夜、現場事務所に持ち帰り、報告書を作る───こんな昔ながらの手間ひまかけた進捗(しんちょく)管理から脱却しようと、大林組は米国生まれの写真管理クラウドサービス「StructionSite」を導入しました。

360度パノラマカメラを持って現場をぐるっと動画撮影してくるだけで、現場内を写真撮影し、図面上に撮影した場所やカメラの向き、日時などを自動記録するというスグレモノなのです。(詳しくは、2020年3月5日付けの当ブログ記事を参照

360度カメラを持って現場内を一周する施工管理者(写真:StructionSite)

現場の写真は図面上に撮影場所(赤い点)や撮影方向(拡大円内)とともに自動的に記録される(以下の資料:大橋組)

このシステムについて、大林組ビジネスイノベーション推進室から「重大ニュースがある」と連絡が入り、急きょ、オンライン取材を行いました。

大林組ビジネスイノベーション推進室とのオンライン取材。左上から時計回りに、城越陽平 課長、杉浦伸哉 副部長、土屋貴史 副課長(シリコンバレー在住)、佐藤寛人 部長(同)、大杉達也 主任。右下隅はイエイリ

その内容とは、StructionSiteに画期的な機能が追加されたというものです。

現場を写した360度写真から

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIが進捗状況を認識

して、図面上に色分け表示したり、施工済みの数量を計算したりしてくれるというのです。

360度写真から軽量鉄骨フレームや石こうパネルなどを自動認識し、施工済みの数量を自動計算する

現在、認識できるのは、軽量鉄骨フレーム(Framing)、石こうパネル(Drywall)、仕上げ材(Finish)、Kickers(型枠補強材)、Backing(下地材)の5種類の工程

軽量鉄骨フレームを施工している現場をAIで判断し進捗を表示した例

仕上げ材の施工が進んだ段階の現場。図面の色分けがかなり変わっている

自動的に作成された進捗レポート。協力会社への工費の中間払いにも使える

進捗状況をシステムが自動的に計算してくれると、工程管理が楽になるだけでなく、工事の出来高による

工費の中間払い

の事務作業が非常に楽になります。

自動計算した出来高は、±5%前後の誤差がありますが、従来の手作業による計算でも誤差をなくすことはできません。

最後の精算では、きっちり金額調整されるわけですから、中間払いなどにはどんどん活用していった方が生産性が上がりそうですね。

大林組ではこれまでにStructionSiteを約200件のプロジェクトで使いました。現場のユーザーから、初めは英語のメニューを日本語化してほしいという要望もありましたが、あまりにも操作方法が簡単なため、今では全く気にならずに使えているようです。

また、国内の販売代理店を通じて外販も行っています。

StructionSiteの国内販売・サポート体制

気になるお値段ですが、会社の規模によっても違いますが、1プロジェクト当たり年間60万円~90万円とのことです。

360度写真とクラウドは、施工管理業務のテレワーク化に大きく役立つツールですが、テレワークする人間だけでなくAIも作業を手伝ってくれると、ますます生産性は上がり、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいきそうですね。

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