管理人のイエイリです。
先週の木曜日(2021年6月24日)、横浜・元町で「建築のミライ」というイベントが開催されました。会場では、ロボットらしきものが数台、走行する中、報道陣がカメラを向けています。
ロボットをよく観察すると、顔の部分にはタブレットやカメラらしきもの、そして頭のてっぺんには360°パノラマカメラが付いているのがわかります。
このロボットの名前は「Log Kun(ログくん)」といい、その正体は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
現場監督用アバターロボ
だったのです。(log buildのプレスリリースはこちら)
「アバター」とは、分身となるキャラクターのこと。つまり、離れた場所にいる現場監督の“分身”となって安全パトロールや品質チェックを、テレワークで行えるようにすることで、徹底的に「移動のムダ」を省くことを目的としているのです。
自由に現場内を歩き回りながら、工事写真を撮ったり、職人さんに音声通話しながら、タブレットに図面や写真などを映しだして指示したりすることができます。
360°カメラで撮影した写真は簡単にVR(バーチャルリアリティー) photo化し、「Log Walk(ログウォーク)」というクラウドにアップして現場情報を可視化・共有できます。
神奈川県藤沢市のecomoでは、ロボットやクラウドを使って、現場監督だけでなく、スタッフ全員が設計監理や施工管理業務をテレワークで行っています。
そして、今後のアップデートでは、Log Walkで取得した現場情報から、
AIによる進捗率の自動計算
や、VR空間での寸法の自動計測、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCADとの連携などのシステムも開発していく予定です。
「Log Kun」を開発したのは、神奈川県藤沢市に本社を置くlog build(ログビルド)というスタートアップ企業です。
ロボットとクラウドを合わせて施工管理をテレワーク化するサービス「Log System(ログシステム)」は、6月24日の発表を機に、log buildがゼネコンやハウスメーカー、工務店に販売を開始しました。
同社の代表取締役を務める中堀健一氏は、1971年生まれ。元・現場監督で世の中のテクノロジーが進化しても現場管理の手法がアナログであることに疑問を感じ、建設会社経営者や現場管理者、職人の意見を参考にしてこのシステムを考案しました。
2020年2月にlog buildを立ち上げ、SONYでロボット犬「AIBO」やゲーム機「PlayStation」の開発に携わった人材や、リクルートで住宅業界の負の部分を解決してきた人材も登用しました。
そして2021年4月には住宅系大手商社の渡辺パイプやジャパン建材、麻生要一氏から総額約8000万円の資金調達も行い、経営もスピーディーです。(log buildのプレスリリースはこちら)
また、中堀氏はecomoの代表取締役も務め、開発したロボットを自らの会社でも活用し、新しい建築ビジネスを実践しています。
自ら現場監督を務めながら、旧態依然とした施工管理の方法に疑問を感じ、スタートアップを立ち上げてシステムを開発。そして自社でも活用するといった経営スタイルは、今年3月に東証マザーズに上場したスパイダープラス(本社:東京都豊島区)をほうふつとさせます。
「買って使える現場監督用アバターロボット」が登場したことで、現場監督のテレワーク化はますます進んでいきそうですね。