竹中工務店が四足歩行ロボ「Spot」で現場を遠隔管理! 1階から4階までの自動巡回も
2021年9月15日

管理人のイエイリです。

竹中工務店と竹中土木は、米国・ボストンダイナミクス(Boston Dynamics)社製の四足歩行ロボット「Spot」を使い、関東や関西、九州の複数の現場で自動巡回や遠隔操作の実証実験を行ってきました。

さらに2020年12月からは、鹿島建設を含めた3社でSpotの実用化に向けての共同研究を行っています。(詳しくは、2020年12月8日付けの当ブログ記事を参照

竹中工務店の現場での実証実験(以下の写真:竹中工務店、竹中土木)

竹中土木の現場での実証実験

こうした現場での実証実験を繰り返した結果、Spotによる施工管理ノウハウは大きく進化しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

現場監督がテレワーク

できるほどになったのです。(竹中工務店、竹中土木のプレスリリースはこちら

現場監督がテレワークするため、Spotに搭載された様々な機器

「Spot」の背中には、標準搭載の360度カメラや光学30倍ズーム付きパンチルトカメラに加えて、「首振台座付きタブレット端末」や「小型プロジェクター」、「通話装置」が搭載されました。

これらをコントロールする「小型コンピューター」や「バッテリー」、遠隔通信用のLTEモバイルルーターも搭載していてます。

遠隔地にいる現場監督は、自分のパソコンや専用コントローラーから現場にいるSpotを遠隔操作して、建設現場内を自由に移動し作業の確認が行えます。

現場の壁面などにプロジェクターで資料や図面を投影しながら、現地の作業員らとの打ち合わせや、作業指示を行うこともできます。このほか、遠隔操作できる測量機を使って、寸法や精度管理なども可能です。

両社は都心のオフィスから、地方の現場にいるSpotを操作して、現場の巡回や作業員とのコミュニケーションを行うテストも実施し、通信の遅延やデータ容量についても問題ないことを確認しました。

もう一つ、進化したのは自動巡回機能です。工事現場では工程によってある日突然、仕切り壁が設置されたり、通路が大幅に変わったりします。

そこで標準搭載の3D LiDAR(3次元レーザーセンサー)のほか、Spotの背中に360°パノラマカメラを搭載することで、自分の位置や経路を把握しながら自動巡回し、現場の写真を撮ってくることが可能になりました。

その結果、工事中の建物のスロープや階段を使って

1階から4階を自動巡回

し、戻ってくるという自動パトロールにも成功しました。

現場の階段を通って自動巡回するSpot

Spotの遠隔操作や自動巡回によって、工事写真の撮影や進捗管理、資機材の配置管理など、工事現場で行われるさまざまな管理業務の負担を10%程度削減できるとのことです。

竹中工務店と竹中土木は今後、鹿島建設と今回の成果を共有するとともに、搭載機器を簡単に扱えるようにユニット化していきます。利便性を高めたオペレーションシステムも開発するほか、ユニットは他の移動ロボットにも搭載できるようにする予定です。

工事現場には、人手不足やコロナ禍による三密防止のほか、2024年には時間外労働の上限規制という、様々な課題があります。現場用のロボット導入による現場監督のテレワーク化や施工管理の自動化は、これらの問題解決の切り札になりそうですね。

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