管理人のイエイリです。
川田工業(本社:富山県南砺市)といえば、鋼橋や建築鉄骨などの設計、製作、架設などを総合的に手掛ける大手メーカーとして知られています。
その主力製品の1つに、鋼材とコンクリートが一体となって路面の荷重を支える鋼・コンクリート合成床版「SCデッキ」があり、今後、増産を計画しています。
その製作は工場で行われていますが、塗装については熟練の職人が吹き付けています。単調で過酷な作業なので、職人の確保や技術継承が課題となっていました。
そこで川田工業は富山県南砺市にある同社の富山工場に、川田テクノロジーズ(本社:富山県南砺市)、常盤電機(本社:岐阜県各務原市)とともに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
自動塗装ロボット
による生産ラインを建設したのです。(川田テクノロジーズのプレスリリースはこちら)
今回、建設したのは自走式の「自動塗装ロボット」と、床版などを所定の位置に搬出入する「自動搬送装置」、そしてこれらを覆う実験棟です。
「自動塗装ロボット」は、防爆型の汎用6軸塗装ロボットを自走台座に搭載したものです。左右約12m、前後約36mの範囲で動くため、「SCデッキ」を最大12枚並べ、国内最大級となる約300平米の施工面積を2時間足らずで塗装できます。
「自動搬送装置」は、1枚あたりの重さが2tの「SCデッキ」を4枚1セットで一括して実験棟内に搬入できる能力があります。
これまではクレーンを使って製品を1枚ごと架台上に並べていた作業を大幅に省力化、省人化できるほか、作業の安全性も高まります。
一見、地味な塗装作業ですが、温度や湿度に合わせて塗装品質を一定に保ち、広い面積をムラなく塗装するためには、塗料の調合を微修正するなど、熟練工ならではの経験値が求められます。
今回のロボット自動塗装ラインでは、熟練工と同等の塗装品質を得るために各種テストを行い、温度・湿度に応じてロボットの塗装条件を自動的に最適化するなど、高い品質と生産性の向上を両立する技術を確立します。
つまり、職人の技術をロボット化することで、
塗装の技術伝承
を行う狙いもあるのです。
川田工業ではこの実験棟で各種の塗装テストを行い、2025年度からSCデッキを対象にロボット活用を本格化させる予定です。
さらに将来は、自動搬送装置を生産管理システムと連動させて、塗装工程の進ちょく管理を遠隔化するほか、塗装厚を計測する「自動検査ロボット」の開発も進めています。
橋梁工場はこれまで、天井走行クレーンや鋼材を切断するバーナーなどの機械はいろいろとありましたが、その制御の多くは人間が行っていました。
川田工業の自動塗装ラインが動き出すと、橋梁工場も無人化が進む自動車工場のように、大幅に省人化や自動化が進みそうですね。