管理人のイエイリです。
建設業での時間外労働時間に上限が設けられる「2024年問題」や、働き方改革では、いかにムダな時間をなくし、時短を図るかが重要な課題となっています。
特に移動式クレーンのオペレーターは、毎朝、事業所に出勤した後、建設現場に移動するという“移動のムダ”が多く、さらに狭い運転席で長時間過ごすという身体的な負担が多い職種です。
この問題を解決しようと、竹中工務店はクレーンメーカーのタダノ(本社:香川県高松市)、クレーン工事などを手掛けるアルモ(本社:香川県高松市)と共同で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
移動式クレーンの遠隔操作
システム「CRANET」を開発したのです。(竹中工務店のプレスリリースはこちら)
「CRANET」は、オフィスに設置したコックピットから、離れた場所にある移動式クレーンを遠隔操作するシステムです。
遠隔操作のコックピットは、実際の移動式クレーンの運転席を忠実に再現しており、同様なコントローラーや、運転席周りに設置した複数のカメラ映像をリアルタイムに映すモニターがあります。
そのため、遠隔操作でも、吊り荷を目視確認しながら操作する運転席と遜色のない作業環境を実現しました。モニターには動作信号や異常信号も、常に表示しています。
オペレーターは建設現場に出向くことなく、快適なオフィス内で建設現場のクレーンを操作できるので、窮屈な運転席で、1日を過ごすという身体的な負担もありません。
「CRANET」を使って、高松市に設置したコックピットから、約70km離れた徳島市の現場に設置した移動式クレーンを遠隔操作したところ、資材の移動や積み込み、積み下ろしなどの作業を支障なく実施できました。
現場への移動のため、公道での遠隔運転ができるようになると、さらにクレーンオペレーターの働き方改革が進みそうです。
オフィス内に複数のコックピットを設置すれば、多数の若手オペレーターを熟練オペレーター1人が指導・教育することも可能です。建設技術の次世代への伝承や建設業界の魅力度向上にも役立ちそうですね。
竹中工務店は2020年に、タワークレーン用の遠隔操作システム「TawaRemo」を、鹿島、アクティオ、カナモトと共同開発し、既に多くのプロジェクトに導入しています。
一方、今回、開発したシステムは、作業内容によって建設現場内を動き回る移動式クレーンに対応するため、通信システムには光ファイバーなどの有線回線を用いない完全無線システムを採用しました。
タワークレーン用の「TawaRemo」と、「CRANET」のモニターを比べると、若干の違いがあることがわかります。
それは移動式クレーン用の「CRANET」のモニターは、運転席からの視界を広い視野で伝えるため、
360度カメラの映像
が大々的に使われていることです。
CRANETは諸官庁との協議を行いながら、2024年12月まで試験適用を行い、2025年度中の本格的な運用開始を目指しています。今後は移動式クレーンだけでなく、様々な工事用機器へ適用範囲を広げていくとのことです。