管理人のイエイリです。
鉄筋コンクリート造のゴツゴツした建物躯体に、窓枠を正確な位置に取りつける作業は、きめ細かな“現物合わせ力”が必要なため、これまでは職人の熟練技に頼ってきました。
しかし、人手不足や熟練工の高齢化、そして「2024年問題」と呼ばれる時間外労働の規制強化により、こうした精密作業も人に頼ってばかりもいられない状況になってきました。
そこでサッシメーカーのYKK APは、世界初の試みとして、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ビル窓施工ロボット
「MABOT」を開発したのです。(YKK APのプレスリリースはこちら)
MABOTは、窓枠設置ロボット「アライメンター01」と自動溶接固定ロボット「ウェルフィクサー01」という2台一組のロボットからなります。
「アライメンター01」は、窓枠となるサッシパーツを正確に位置決めし、木片のクサビによる仮止めまでを行います。
一方、「ウェルフィクサー01」は、仮止めされた窓枠のブラケットと、躯体側に取りつけてある鉄枠の間に「鉄製ブラケット」を自動的に挿入して、自動溶接によって固定します。
こうした高精度な現場合わせを実現するため、2台のロボットには様々な工夫が施されています。
例えば、窓枠設置ロボットは、開口部に打たれた
基準墨をスキャン
して自動認識することで、ゴツゴツした開口部の精度不良を補正しながら、正しい位置に窓枠を建て込みます。
着脱式の工具「エンドエフェクター」も搭載し、拡張性を備えています。
自動溶接固定ロボットは、建物のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データから作成した地図をもとに、壁や柱との距離を測りながら窓枠前に移動し、鉄製ブラケットを自動配置し、不活性ガスにより火花を抑えて溶接します。
溶接できる高さは、掃き出し窓に対応して地上高0mmから最高3200mmまで広く対応しています。
また自由に移動できる起動力を高めるため、タイヤにローラー付きのものを採用した四輪独立駆動とし、縦横斜めや回転スロープ移動のほか、20mm程度の段差を乗り越えることができます。
MABOTの施工対象は、ビル用スライディング系窓の「EXIMA 31」です。ロボットの本体サイズと重量は、「アライメンター01」 が幅1,040mm×高さ2,020mm×奥行790 mmで250 kg、「ウェルフィクサー01」
が幅930mm×高さ1,900mm×奥行1,700 mmで550 kgとなっています。
これらのロボットによって、ビル窓の施工でロボットと人間の作業分担がどう変わるのかが注目されますね。