管理人のイエイリです。
清水建設は、建設用3Dプリンターによる施工技術の開発に取り組んできました。その成果の一つが、構造部材として使える造形用材料の「ラクツム」です。
2021年には、東京・江東区内のオフィスビルの建設で4本の柱の建設にも使われました。(2021年2月8日の当ブログ参照)
あれから3年、同社は新たな3Dプリンター用材料や工法を開発し、このほど大阪府堺市内にある日本製鉄の工場で、設備基礎の施工に初適用しました。
今回の現場施工のため、ロボットアーム型のモバイルプリンターと自動材料製造装置を新たに開発して、10tトラックで現場に搬入。断面積0.4m2、高さ2mの鉄筋コンクリート部材を現場で直接、施工したものです。
この3Dプリンターによる施工風景をよく見ると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
材料を鉄筋内部に噴射
して、材料が中まで詰まった柱を造形しているのです。(清水建設のプレスリリースはこちら)
この「材料噴射型3Dプリンター」による構造部材の造形には、ロボットアーム型の3Dプリンターを使用し、現場に配置した鉄筋の側面から内部に向けて材料を吹き付けます。
吹き付けノズルを取りつけたロボットアームは、鉄筋の外周を旋回しながら、材料を斜め下方に噴射します。鉄筋内部への充てんが完了した後は、表層全体に別の材料を重ねて吹き付けます。
さらに必要ならば、ロボットアームによってコテ仕上げまでできるのです。(清水建設のプレスリリースを参照)
この材料で作った柱は、在来工法で施工した鉄筋コンクリート部材と同等以上の構造耐力とじん性があります。木製型枠の使用量が減ることで、環境負荷の低減効果も期待できます。
この現場では、材料の噴射から表面仕上げまでにかかった時間は柱1本当たり2時間50分で、在来工法に比べて
施工期間を約4割短縮
しました。
このほか、現場では同じプリンターを使って縦 6.5m×横 4m×高さ 2mの水槽構造物の型枠も、材料押し出し型の技術によって造形しました。
清水建設では、この技術を既設構造物の補修や補強、応急復旧への適用も視野に入れて、開発を進めていくとのことです。補修・維持管理の分野で、トンネル工事の吹き付けコンクリートのような技術が使えると、生産性向上が期待できますね。