管理人のイエイリです。
長谷工コーポレーションは、マンションの設計、施工から販売、維持管理まで、同社のビジネス全体でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用するため、2014年から“長谷工版BIM”を本格的に活用しています。(2014年10月30日付けの当ブログ参照)
同社はこのほど、日本コントロールシステム(本社:東京都渋谷区)の「G-Earthwork」システムと長谷工版BIMを組み合わせて、マンション基礎の掘削作業(根切り)を行うための新機能を開発しました。
通常は油圧ショベルのオペレーターと地上の測量担当者の2人体制で作業を行っていますが、このシステムを使うと、
ナ、ナ、ナ、ナント、
オペレーターだけ
で掘削が行えるのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら)
油圧ショベル運転席の屋根には、地盤の形をレーザー光で3D計測する「LiDAR」が取り付けられており、「LiDAR SLAM」という技術で油圧ショベルの自己位置を認識します。
運転室内のモニター画面には、現在の地盤形状と長谷工版BIMの3Dモデルが重ね合わせて表示され、掘り残しや掘り過ぎの度合いが色分けされるので、オペレーターだけで設計通りの深さに掘削できるのです。
測量担当者が不要になるため、基礎掘削の人員を50%省人化できるほか、測量担当者の合図を見ながら少しずつ目標の高さに近づける手間がなくなるため、作業時間や燃料消費量も30%削減できます。
さらに、人工衛星の電波で位置を計測する
GNSSも不要
のため、超高層ビルが林立する都市部でも精度の高い掘削が行えます。
土木工事では3Dの設計データ通りに掘削する「3Dマシンガイダンス」や「3Dマシンコントロール」が使われていますが、位置計測はもっぱらGNSS(全地球測位システム)で行っています。
その点、GNSSを使わない方式は衛星の電波を捕捉しにくい建築現場でもスムーズに使えそうですね。
ここ数年、長谷工版BIMは施工面の進化が目覚ましく、「プレキャスト部材の運搬を効率化する自動分割機能」や「生コン数量の自動算出」、「アルミサッシの工場生産」、「配管BIMモデル自動作成」といった独自機能が続々と開発されています。
今回、基礎掘削機能が追加されたことで、建築現場の生産性向上や働き方改革を、さらに加速しそうです。