BIMデータをアルミサッシの工場生産に活用! 長谷工とメーカー4社が目指す“図面レス製作”
2023年4月6日

管理人のイエイリです。

建設業と製造業で使われる生産システムは、データ形式が異なるため互換性がありません。

そのため、建設業でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使ってアルミサッシなどを設計しても、サッシメーカーの工場に渡すときはいったん図面として出力し、工場では担当者が生産に必要な数値や仕様などを図面から読み取って工場用の生産システムに手動入力しています。

その過程では当然のことながら、図面に書かれていない数値などの問い合わせや、数値の読み間違いやデータの入れ間違いなどのヒューマンエラーといった非効率が発生しています。

この問題を改善しようと、長谷工コーポレーションは、アルミサッシメーカーの三協立山(本社:富山県高岡市)、不二サッシ(本社:川崎市幸区)、LIXIL(本社:東京都品川区)、YKK AP(本社:東京都千代田区)の協力を得て、「アルミ製サッシ生産システム」を開発しました。

長谷工と各社工場の間で図面をやりとりする代わりに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMモデルの数値

データを使い、工場側での図面の読み取りや入力をなくしたのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら

これまでの図面に代わり、BIMモデル(左)から抽出したサッシパラメーターの数値(右)を工場に送る(以下の資料:長谷工コーポレーション)

これまでの図面に代わり、BIMモデル(左)から抽出したサッシパラメーターの数値(右)を工場に送る(以下の資料:長谷工コーポレーション)

BIMモデルからの数値を工場と連携することによる作業の効率化

BIMモデルからの数値を工場と連携することによる作業の効率化

このシステムは、長谷工版BIMの建物モデルから、アルミサッシ製作に必要なデータをExcelなどに書き出し、それをメーカー各社の設計作図システムに自動的に取り込むものです。

従来、工場側の担当者が図面から数値などを読み取って手入力する作業が自動化され、BIMから抽出したデータはその後の製作図作成や図面承諾まで使われます。そのため、質疑応答やヒューマンエラーも大幅に削減されました。

このデータ連携を実現するため、長谷工はサッシメーカー4社との間で、数値の意味を説明した「パラメーター対応表」、マンション専用部のアルミサッシについての「共通仕様書」、そして設置箇所ごとの納まりを標準化した図面集「共通ディテール」を共有しました。

このシステムについて、今回、開発した部分は「ステップ1」にすぎません。

今後、工場で作成した製作図の承諾作業を簡略化する「ステップ2」や、製作図のペーパーレス化による印刷製本業務を削減する「ステップ3」へと開発を進め、さらなる業務効率化を図っていく予定です。

ステップ1からステップ3へと開発を進め、業務効率化を高めていくイメージ

ステップ1からステップ3へと開発を進め、業務効率化を高めていくイメージ

長谷工の構想は、自社だけにはとどまりません。現在、ゼネコン各社は複数のサッシメーカーとの間で、それぞれ、個別の方法で製作情報をやりとりしています。

そのため、業界全体では煩雑でムダが多い「多対多」のやりとりが行われています。

そこで、ゼネコン、メーカー間で

デジタル情報の伝達

ルールを共通化することも目指しているのです。

ゼネコンとメーカー間での情報伝達ルールを共通化するイメージ

ゼネコンとメーカー間での情報伝達ルールを共通化するイメージ

これが実現すると、ゼネコンとメーカーとの間での生産情報のやりとりがシンプルになり、全員が「Win-Win」になれるのです。

単に図面をデジタル化するだけでなく、各社間での情報伝達ルールも共通化していくことで、生産性向上効果のある“アルミサッシDX”を実現していこうというわけですね。

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