管理人のイエイリです。
生コンクリートを打設するとき、重要なのがバイブレーターによる締め固め作業です。これが不十分だと、コンクリート内部に空洞ができたり、打ち重ね部分が一体化しなかったりと、様々な問題の原因になります。
しかし、現場で生コンの表面から見ただけでは、どの範囲が締め固められているかはわかりません。
そこで、三井住友建設は「ARコンクリート締固め管理システム」の開発に着手しました。
現場で打設したコンクリートの締め固め範囲と時間を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPadの画面上で見える
ようにしたのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
このシステムはAR(拡張現実)技術を使って、コンクリートの「締め固め範囲」や「締め固め時間」。「締め固め完了状況」といった見えない情報を、実際の現場に重ねて表示し、定量的に管理するものです。
iPadの画面上では、実際のコンクリート面が格子で区切られており、締固めが終わった部分や締固め時間などがメッシュごとにわかるようになっています。
また、複数のiPadがネットワークを介して接続できるようになっているため、同時に複数台で広範囲の締固め管理が可能です。
さらには、このシステムには
3Dモデリング技術
も使われており、鉛直方向に打ち重ねられたコンクリートごとに、色違いで締め固め状況を管理できるのです。
このシステムは実際現場で試験導入し、有効性を確認しました。今後、現場のニーズに沿った仕様になるように開発を進めていく予定です。
冒頭の写真では施工管理者がタッチペンでメッシュをクリックするようですから、現在はiPadを通じて、締め固め作業の開始や終了のタイミングをブロックごとにタッチする手動入力なのかもしれません。
これも、AI(人工知能)によって現場の作業状況を判断する技術が開発されつつありますので、将来は現場のカメラなどを使った自動入力の方向に進むのかもしれません。
また、生コンプラントでの練り混ぜ開始時間なども、メッシュごとに管理できるようにすると、打ち重ねの時間管理にも使えそうですね。
プレスリリースでは「コンクリート全体の締固め範囲・時間を定量的に管理し、コンクリート全体を確実に締固めることができるシステムの開発に着手した」とありますので、三井住友建設の技術陣は、おそらく、こうしたことはとっくに考えているのでしょう。
今後の“生コンDX”の実現に期待が高まります。