管理人のイエイリです。
橋脚からやじろべいのように橋桁を伸ばしていく「張り出し架設工法」による橋梁の建設現場では、施工が進むと橋面の高さが変化していきます。
現場の施工管理者は、この高さを管理するため、日射の影響が少ない早朝に2人1組で日常的に測量を行ってきました。
ただ、測量の頻度が高いため、早朝に2人が現場に出掛けて計測する作業は大きな負担になっていました。
そこで、三井住友建設と千代田測器(本社:東京都台東区)は、この水準測量を1人で行えるようにするため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ワンマンレベル測量
システムを開発したのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
“1人水準測量”を可能にしたのは、遠隔操作式のデジタルレベルです。これまでのデジタルレベルは、標尺の高さメモリを自動的に読み取ることができましたが、レベル側にも操作する人が必要でした。
今回開発した遠隔操作式のデジタルレベルにはカメラと回転台が搭載されており、オートフォーカス機能により標尺にピントを自動調整できます。使用するレベルは、1km往復の測量で標準偏差がわずか0.2mmという高精度の機種です。
レベルの操作は標尺を持つ側の人がスマートフォンなどを使って遠隔操作し、回転、視準、測量、計算を行います。あらかじめ側点の座標をインプットしておくと、レベルが自動的に回転や視準を行うので、レベル側は無人化されました。
このシステムを三井住友建設が施工する橋梁上部工の現場で初適用したところ、従来は施工管理者が2人必要だった作業が1人でよくなり、省人化が実現しました。
そして、1径間の床版を測量するのにかかる人工や施工管理者の拘束時間も、1.5時間から0.75時間へと、
従来に比べて半減
したのです。
計測した値はシステムが自動処理し、クラウドに保存されるためヒューマンエラーも防止できます。
両社はこのシステムをさらに改良し、販売を予定しています。高精度が要求される水準測量も、オートメーション化の時代を迎えました。