AIとドップラーライダーで現場上空の風を予測! 竹中工務店が「ソラビュー」を開発
2025年10月21日

管理人のイエイリです。

高層建物の建設現場では、タワークレーンによる揚重作業が欠かせません。その作業を左右するのが「風」です。

竹中工務店が施工する現場では、地上やタワークレーンに風速計を設置し、10分間の平均風速で毎秒10メートルを超えると作業を中止するなど、安全基準を設けていました。

ただ、この方法では、風速計を取り付けた1地点の情報しか得られず、しかも予測機能はありませんでした。高層建築では上空の風が地上とは大きく異なるため、将来的な風況を見通して工程を組むには課題がありました。

風によるリスクを減らすため、竹中工務店はWEBアプリ「ソラビュー」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

未来の現場の風を予測

 

できるのです。(竹中工務店のプレスリリースはこちら

「ソラビュー」によって予測された高さごとに風向・風速(以下の資料:竹中工務店)

「ソラビュー」によって予測された高さごとに風向・風速(以下の資料:竹中工務店)

このアプリでは、10〜60分後(10分ごと)や2〜8時間後(1時間ごと)の風況を詳細に予測できます。

さらに、建物による気流への影響も考慮し、高さ1000mクラスの高層建物に対しても正確に風速・風向を推定。事前の作業計画や、強風が予想される際の飛散防止養生などに役立てることもできるのです。

ソラビューの仕組みは、最新の気象データをAIが解析し、任意の高さ・時刻の風況を算出するというものです。

気象台の観測データや過去1年間のレーザー観測データを組み合わせ、機械学習で「風況予測モデル」を構築。これにより、地上付近だけでなく現場直上の空間における風の動きをリアルタイムで見える化します。

この「現場直上の風速」を測るために使われているのが、空港でも使われている

 

ドップラーライダー

 

です。

レーザー光を大気中に照射し、空気中の微粒子からの散乱光を解析することで、風速や風向を遠隔で測定できるという優れものです。これにより、従来の風速計では不可能だった“空中の風”を多層的に把握できるようになりました。

ドップラーライダーと気象台の観測データを機械学習し、風況を予測する流れ

ドップラーライダーと気象台の観測データを機械学習し、風況を予測する流れ

従来の1地点観測に比べると、ソラビューでは複数の高度で風況を把握できるため、作業計画の精度が大幅に向上します。さらに、風が強くなる時間帯を事前に把握することで、作業の安全判断や飛散防止対策を前もって立てることができます。

この技術は建設現場だけでなく、空港での風予測や航空管制など、空の安全にも通じる要素を持っています。建設と航空という異なる分野をつなぐコラボレーションのきっかけになるかもしれませんね。

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