トンネルから地盤改良作業をリアルタイムに“透視”! 奥村組が「施工影響XRウォッチャー」を開発
2025年3月28日

管理人のイエイリです。

地下鉄トンネルなどの地下構造物の近くで地盤改良を行うとき、土圧の影響で周辺地盤が隆起するなどの被害が発生することがあります。

そこで施工管理者は地下構造物の中で地盤沈下計などのデータを観測し、管理値以上の地盤変状が確認されたときは作業を中止しますが、施工の位置や進行状態が分からないため、どの部分の作業が原因になっているのかを把握するのは困難でした。

こうしたお困りごとを解決するため、奥村組は「施工影響XRウォッチャー」を開発しました。HoloLens2を着けると、地下構造物の中から、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

壁を“透視”

 

して、地盤改良を行っている位置や施工の進ちょく状況がリアルタイムで見られるのです。(奥村組のプレスリリースはこちら

HoloLens2を着けて地下鉄トンネルから地盤改良作業が行われている方向を見る施工管理者(以下の写真、資料:奥村組)

HoloLens2を着けて地下鉄トンネルから地盤改良作業が行われている方向を見る施工管理者(以下の写真、資料:奥村組)

HoloLens2を通してみた映像。壁裏で行われている地盤改良作業の位置や進ちょく状況がリアルタイムでわかる。画面の右側には沈下が管理基準に対してどの程度のレベルにあるのかも色分け表示されている

HoloLens2を通してみた映像。壁裏で行われている地盤改良作業の位置や進ちょく状況がリアルタイムでわかる。画面の右側には沈下が管理基準に対してどの程度のレベルにあるのかも色分け表示されている

HoloLens2から見た地盤改良工の位置は、円柱状の3Dモデルで表示され、作業の進ちょくに合わせてグレーの部分が増加します。

また、同じ画面上に沈下計の計測結果は、沈下計設置場所にシリンダー状のグラフで表示され、一次から五次のどの管理基準値に相当するかを色分けして表示され、確認できます。

左の円筒状のものは沈下計の位置を表し、計測結果が可視化される

左の円筒状のものは沈下計の位置を表し、計測結果が可視化される

沈下の管理基準値と色分け表示の対応

沈下の管理基準値と色分け表示の対応

このシステムは、施工機械に設置したセンサーと現場周辺に設置した沈下計から、施工深度や鉛直変位量のデータをクラウドに送り、HoloLens2でこれらのデータと現場の風景を重ねて見る仕組みになっています。

施工影響XRウォッチャーの構成。HoloLens2のほかiPad Proも使える

施工影響XRウォッチャーの構成。HoloLens2のほかiPad Proも使える

奥村組は同社が地下鉄トンネルに近接して高圧噴射攪拌工法で行う地盤改良工の施工管理に、このシステムを試行的に活用しました。

その結果、地下鉄トンネル内から地盤改良工の施工位置と進ちょく状況がリアルタイムに把握でき、

 

重点的に監視

 

すべき場所を容易に特定することができたとのことです。

躯体の沈下や隆起の状況も即座に把握できるため、現場の安全性向上と公衆災害の発生防止にスピーディーに対応でき、被害を未然に防ぐことができそうですね。

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