管理人のイエイリです。
機動力を誇るホイール式のラフテレーンクレーンは、市街地の建設現場などでは欠かせません。
現場にスムーズに入場し、限られたスペースの中で作業に最適な停車位置を決め、吊り上げ能力が生かせるアウトリガーの張り出し範囲を決めるには、やはり事前に十分、シミュレーションを行っておく必要があります。
ラフテレーンクレーンの大手メーカー、タダノはこうした検討をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで行いやすくするため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
クレーンのBIMモデル
を無料公開したのです。(タダノのプレスリリースはこちら)
現在、17機種のBIMモデルが「BIMobject」のウェブサイトにアップロードされており、オートデスクのBIMソフト「Revit」用の「.rfa形式」でダウンロードできます。
Revitの3D空間にビルとクレーンのBIMモデルを置いて、ブームの角度や長さなどをいろいろ変えながら、作業手順を確認したり、クレーンの最適な設置位置を検討したりすることができます。
これまでは建物や足場などとの干渉チェックが、シミュレーションの主な目的ですが、それだけではありません。
タダノは、実機の性能などのデータにインターネット経由でアクセスできる
Lift API
も公開しました。
その結果、クレーンとビルなどの干渉チェックだけでなく、ブームの傾斜角に対応した吊り上げ能力や、アウトリガーにかかる反力など力学的なデータも「見える化」され、転倒防止などの検討もしやすくなります。
クレーンオペレーターの経験と勘だけでなく、理論的なデータにも裏付けられた安全、安心、快適な施工計画が作れそうですね。
このほか、タダノはトラックに搭載されたカーゴクレーンを使用中のお困りごとを解決するスマートフォン用のアプリ「ゲンバデサポート」も公開しました。
カーゴクレーンのコントロールパネルに表示されるエラーコードや音声メッセージを検索して、問題点を素早く理解し、現場での対処方法をイラストや動画でわかりやすく解説してくれます。
施工BIMの普及でクレーン作業は最近、ますます精密化するとともに、事前のシミュレーションでスピードや安全性も向上してきたのを感じます。そのすぐ先には、テレワーク化や自動化といった「クレーン作業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」も見えてきたようです。