管理人のイエイリです。
クモノスコーポレーション(本社:大阪府箕面市)といえば、コンクリートのひび割れ幅や杭などの傾きを遠くから測量機器で計測する技術で知られています。
同社は3Dレーザースキャナーによる点群計測にも強く、これまでインフラ構造物やスポーツ施設、歴史的建造物、文化財など2500件以上の計測実績があります。
最近では、大阪府内にコロナ禍による緊急事態宣言が出た時期を利用して、大阪市内を貫く御堂筋一帯を約5kmにわたって点群計測した「御堂筋3Dアーカイブプロジェクト」も実施しました。
同社はこのほど、政府系の投資会社、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ(本社:東京都港区)が運営するファンドから、
ナ、ナ、ナ、ナント、
10億円の資金を調達
したのです。(クモノスコーポレーションのプレスリリースはこちら)
今回の資金調達によって、同社は点群計測事業の基盤強化を行うほか、建造物の内外、商業施設や駅や工場など、人々が生活する実物空間の3次元データをプラットフォーム化していきます。
このほか技術や事業の強化のため、外部企業との提携や連携を行い、インフラの構築や強化、安全管理やメンテナンス、文化保存、災害シミュレーションなど、建築・土木業界以外の分野でも事業を行っていきます。
その事業イメージは「御堂筋3Dアーカイブプロジェクト」の点群データを見れば、少し想像できるような気がします。
建物や構造物を単体としてだけではなく、都市全体を丸ごと点群データ化しているところです。
つまり同社は、都市全体を点群データなどで高精細化した
都市のミラーワールド
を構築し、3次元空間データのプラットフォームを提供することを目指しているのです。
都市モデルと言えば、国土交通省が公開している「PLATEAU」がありますが、さらにその精細さを高めて、広く商用に使えるようにした感じでしょうか。
2025年に開催が予定されている大阪・関西万博は、5Gなどの通信環境を使って世界中からアクセスできるようになるそうです。
そのとき、デジタルな仮想世界とリアルな物理世界をつなぐシステムとして、実物の都市に基づいた「ミラーワールド」が欠かせませんからね。
つまり都市の「デジタルツイン」というわけですが、「ミラーワールド」と言っているのは、単に都市をモデル化するだけではなく、建築・土木分野以外の商業やイベント、防災などの分野で、人々がその場所にいるような錯覚に陥るほどのリアルな仮想空間を目指しているからでしょう。
クモノスコーポレーションが推進するビッグビジネスには、建築・土木関係者にとっても、大きな可能性がありそうです。