安藤ハザマが山岳トンネル用の遠隔臨場システムを開発! 岩判定を5割削減
2021年7月27日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルの工事現場は、人里離れた場所も多く、坑口から現場最前線の「切羽」までの距離も長いので、発注者が立会検査に行くのもひと苦労です。

そこで安藤ハザマらのコンソーシアムは、立会検査をオンライン化するため「山岳トンネル遠隔臨場支援システム」を開発しました。

このシステムは「トンネル全線の可視化システム」と「切羽地質情報取得システム」から構成されており、トンネル現場全線を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

360°カメラで記録

し、トンネル全線を映像で記録するのです。(安藤ハザマのプレスリリースはこちら

360°カメラを搭載した車両の仕組み(以下の資料、写真:安藤ハザマ)

通常の遠隔臨場では、携帯電話や無線LANなどを使って現場の映像を発注者に送ります。しかし、トンネルの中は電波が届きにくいので直前に360°カメラを取り付けた車両で坑内を記録しておきます。

また、トンネル内での撮影位置は、クルマに搭載した車速センサーによって映像にひも付けます。

発注者は、その映像を遠隔地からいろいろな角度で見ることで、現場を訪れたのと同じような感覚で現場をチェックできるというわけです。また、見たい場所にも現場内を移動することなく、すぐに“ワープ”して確認できます。

トンネル坑内を撮影した360°映像には撮影位置がひも付けられ、いろいろな角度で坑内をチェックすることができる

もう一つ、トンネルの遠隔臨場で重要なことに、現場の地質を受発注者双方が確認する「岩判定」があります。トンネル内部を支える支保工の仕様を左右するもので、工費とも深い関係がある重要な作業です。

岩判定はこれまで、目視で切羽を観察するなどの方法で行われてきました。この作業を補完するために「切羽地質情報取得システム」により岩盤の圧縮強度や風化程度、割れ目間隔について定量評価を行います。

このシステムはカメラやハロゲン照明、制御パソコンなどを1台の計測車両に搭載し、切羽で取得した計測データや発破作業で使うドリルジャンボのせん孔データを集約し、専用ソフトで評価を行います。

この地質評価結果を受発注者が

クラウドで共有

できるようにしたのです。

切羽などの写真や地質評価結果をクラウド上で共有するシステムのイメージ

毎日の切羽の地質評価結果をクラウドにアップすることで、受発注者が遠隔地同士でも、切羽の状況を連続的に把握でき、岩判定に行く必要性などを判断しやすくなります。

これらのシステムは、国土交通省の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)のプロジェクトとして、安藤ハザマのほかエム・ソフト(本社:東京都台東区)、日本システムウエア(本社:東京都渋谷区)、山口大学名誉教授の中川浩二氏、筑波大学システム情報系教授の松島亘志氏からなるコンソーシアムで開発されました。

2020年11月から玉島笠岡道路六条院トンネル工事(国交省中国地方整備局発注)で試行したところ、遠隔臨場の頻度を約5割削減できることが確認されました。

このシステムによって遠隔臨場を削減できたと思われる場所を赤線で示したもの。約5割、削減できている

これまで受注者が施工管理で使っていたデータを、クラウド化して発注者と共有できるようにしたことで、遠隔臨場支援システムに進化したというわけですね。

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