大林組が工程管理をデジタルツイン化! BIMとQRコードで紙からの脱却
2021年7月21日

管理人のイエイリです。

鉄骨や躯体の工事では、工場で製作する鉄骨の“物流管理”の巧拙が、生産性を左右します。しかし、その管理には、いまだにアナログな方法が幅を利かせています。

鉄骨などが工場から現場に搬入された際は、出荷伝票の部材リストと図面を突き合わせて到着日を記録し、部材が現場で設置されたときは、現場事務所に掲示してある図面上の部材に色を塗って進捗状況を管理・共有するといった具合です。

当然、部材数が多い場合は手間がかかり、部材符号などの記載ミスなども起こりがちです。

そこで大林組は、これらの物流管理をデジタル化し、ビジュアルに行う工程管理システム「プロミエ(※)」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMとQRコード

を使って各部材の動きを追跡し、クラウドで一元管理するものなのです。

(※)Project Management in Integrated Environmentの略。「プロジェクトが見える」の意味も込めた。

現場で鉄骨のQRコードを読み取り、到着日や設置日などを記録するイメージ(以下の写真、資料:大林組)

このシステムでは、部材に張り付けられたQRコードをタブレットで読み取るだけで、「出荷」「搬入」「建方」などの予定日と実施日を記録できます。

入力された記録は、すぐにクラウドサーバーにアップされ、工事関係者間で共有できます。その記録はタイムライン表示で、工事予定と実際の進捗状況を時系列で確認でき、工程の前倒しや遅延が色別表示されます。

そのため、遅れている部材の位置関係を瞬時に把握し、スピーディーに対策が立てられるのです。

工事の進捗状況を時系列で確認したところ。遅れている部材は色分け表示される

BIMモデル上で建方の進捗状況をビジュアルに確認したところ

さらに各部材の重量、面積、体積が

BIMモデルの属性情報

からわかるので、月ごとの工事出来高数量を計算するのも手計算は不要です。

大林組の現場で試したところ、工事出来高の算出と請求処理にかかる時間を約20%削減できたそうです。

BIMモデルの属性情報から、各部材の重量や体積がわかる。また写真やメモもひも付けて記録できる

大林組ではこの「プロミエ」を部材数が多い鉄骨工事を中心に活用していく方針です。現在も工事計画検討や帳票出力などの機能開発を続けており、社内システムとの連携も進めていきます。

そして今後は「プロミエ」を同社の施工管理プラットフォームの核として活用し、業務の効率化と生産性向上を推進していくとのことです。

このシステムは、現場の物流管理を“デジタルツイン化”するものと言っても過言でありません。BIMや写真との連携によって、これまで現場に張り付いて行っていた工程管理を、テレワーク化することもできそうですね。

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