鹿島が工事進捗をBIMで見える化! 工場からQRコードで追跡する「BIMLOGI」
2021年8月20日

管理人のイエイリです。

建築工事では、工場で製作する部材の進捗(しんちょく)管理が、スムーズな施工の鍵を握ると言っても過言ではありません。

これまでは進捗管理の担当者が、その都度、工場に製作状況を確認したり、現場を巡回したりして情報を収集し、紙の図面にメモやマーキングを行うのが一般的でした。

そのため工事関係者は、最新の進捗状況を見に行くために「移動のムダ」や、連絡不備による「手待ちのムダ」「手戻りのムダ」が発生していました。

こうした状況を改善しようと、鹿島は「BIMLOGI(ビムロジ)」という新しい進捗管理システムを開発しました。

工場での製作開始から出荷、現場で荷受けや施工完了までを

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMモデルで一元管理

するものなのです。(鹿島のプレスリリースはこちら

進捗段階ごとに部材が色分け表示されたBIMモデル(以下の資料、写真:鹿島)

BIMモデルと連携する工事の進捗管理システム「BIMLOGI」のイメージ図

このBIMモデルはクラウドサーバー上で共有され、工事関係者はスマートフォンやパソコンのWEBブラウザーで、どこでもいつでも、最新の進捗状況を確認できます。「移動のムダ」をはじめ、紙図面で行っていた問題が一気に解消されますね。

多種多様な部材の動きを入力するために使うのは、QRコードです。実際の部材とBIMモデル上の部材をひも付けるために固有のIDをあらかじめふっておき、そのIDをQRコード化したシールを工場での製作時に張り付けておくのです。

部材ごとに製作開始、出荷・運搬、現場での受け入れ、施工、検査のタイミングで、このQRコードをスマートフォンで読み取ると、そのデータが自動的にクラウド上のBIMモデルに反映される仕組みです。

アルミカーテンウォールを現場で施工した後、QRコードをスマホで読み取る作業員。そのデータはクラウドサーバー上のBIMモデルに自動的に反映される

対象となる部材は、鉄骨、外装材、内装材、建具、衛生・空調・電気設備機器などです。

現場で部材を取り付けた後の検査では、部材ごとに検査項目を設定し、図面へのチェックや写真と合わせた検査の記録が可能です。その結果は自動的に登録されるので、検査が終わっていない部材をカンタンに選び出すことも可能です。

検査記録の画面例

鹿島は2020年4月から、東京都内の大型建築現場にこのシステムを導入した結果、各部材の進捗状況をリアルタイムに共有でき、手戻りや手待ちがほとんどなくなるなどの効果を実証しました。

その内訳は鉄骨工事で約3000点、カーテンフォール工事で約2000点、建具工事で約900点、電気・空調・衛生設備で

約6万点の部材

が対象となりました。

このシステムは「すべてのプロセスをデジタルに」などのコンセプトで鹿島が推進中の「鹿島スマート生産」の一環として開発されました。

今後は既に開発している各社現場管理ツールと連携し、施工データの収集と分析を行い、現場管理をさらに合理化することを目指します。

また、部材の製作や運搬時のCO2排出量の管理にもこのシステムを活用し、より効率的な運搬計画の立案を行うことで「脱炭素社会移行への積極的な貢献」にもつないでいく方針です。

クラウドによる施工管理システムに、BIMが連携することで、現在の状況をリアルタイム共有して様々なムダを省くだけでなく、「未来に発生するムダ」までも削減できるようになるというわけですね。

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