管理人のイエイリです。
日本の道路や鉄道などの社会インフラは急速に老朽化が進みつつあります。国土交通省も、今年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付けて、この問題への取り組みを本格的にスタートさせました。
社会インフラ管理の原点とも言えるのが、現在の状態をスピーディー、低コストで調査する技術です。
そこで、JIPテクノサイエンスは東京大学と共同で道路舗装の状態を調査する画期的な技術を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPhoneを積んで走るだけ
で、乗り心地や道路の平たん性などのデータを収集する日本初の道路路面性状簡易評価システムなのです。
ダッシュボード付近に積んだ2台のiPhone(写真・資料:JIPテクノサイエンス。以下同じ) |
iPhoneは2台使い、1台はダッシュボード上に設置して路面データの収集を行い、もう1台は現場の状態を動画撮影によって記録します。
ポイントとなるのはiPhoneに搭載された角速度センサーとGPS(全地球測位システム)機能です。ダッシュボードに積んだiPhoneはX、Y、Zの3軸方向の角速度と位置データをiPhoneで計測し、「国際ラフネス指数」(IRI)というデータを算出し、位置データにひも付けて記録します。
データの算出には、独自のキャリブレーション(こう正)技術を使っています。そして測定結果はグーグルアース上に表示することも可能です。
iPhoneで測定した各速度データ |
グーグルアース上に表示した測定結果 |
これまでの道路調査用の機器は高価でしたが、iPhoneを使うことで
大幅にコストダウン
できます。
ちなみに、iPhone用のソフトは1000円(税別。以下同じ)ですが、測定したデータを処理するソフトウエアが国内向け60万円、海外向け20万円です。
日本国内では舗装の状態を評価する指標として、わだち掘れ量やひび割れ率に着目した「維持管理指数(MCI)」が標準的に使われていますが、世界的には世界道路協会が正式に採用しているIRIの採用が増えています。調査コストもMCIよりIRIの方が安いため、最近は国内でも関心が高まっているそうです。
同社はまず、道路整備水準が低く、IRIを積極採用している海外市場を中心に販売を始め、その後、国内の道路管理者にも採用を提案していきます。
まさかiPhoneが舗装の状態チェックに使えるとは思っていませんでしたが、最近は水質検査に使ったり、レーザー距離計として使ったりする例もあります。iPhoneは建設業のITを進める万能アイテムなのかもしれませんね。