管理人のイエイリです。
工事現場の安全確保のため、元請け会社は毎日、現場を巡回して危険な場所や作業方法がないかをチェックするのが日課です。
シンガポールでシンガポール電力の送電ケーブル用トンネル「EW3工区」を施工中の西松建設は、こうした目視チェックとともに、異常を少しでも早く発見するため、IT(情報通信技術)を気軽に活用しています。
ナ、ナ、ナ、ナント、
現場のあちこちにカメラ
を設置し、見える化を図っているのです。
西松建設が施工するのは全長5.5kmの工区で、2台のシールドマシンを使って掘削します。
まず、現場の盗難防止のために、シールド機の発進立て坑周辺には数台のカメラを設置し、目を光らせています。
続いて、地上にあるシールド機のモニタールームに入ると、その画面にはシールド機に取り付けられたカメラからの映像がリアルタイムに流れています。
シールド工法のトラブルは、土砂を排出する部分でよく起こるそうです。そこで、掘削した土砂がベルトコンベヤーでスムーズに運ばれているかをカメラでチェックし、問題が発生したときはすぐに地上からでも対策を取れるようにしています。
トンネルの立て坑部分では、ポンプを使って掘削土を地上に上げていますが、そのポンプは見えにくい場所に付いています。
そこで、ここにもテレビカメラを置いて、ポンプに異常がないかがすぐわかるようにしています。
また、構内には作業用の複数の機関車が行き来しています。当然、台車を押しながらバック走行することもよくあります。
そこで問題になるのが、線路上に人や障害物がないかを確認する方法です。もし、線路上に人がいても、運転席からはなかなか見えません。
そこで一番前の台車には、前方確認用の超小型カメラが取り付けられており、この映像を運転席で確認することができるようになっています。
そして、映像を含む様々な施工上の問題を共有するツールとして、現場でフルに活用されているのは、
“シンガポール版LINE”
とも言える“What’s APP”というスマートフォン用のSNSです。
現場のグループごとの連絡用に使っており、現場所長である有村さんは多くのグループに入っているため、朝の1時間で80件くらいのメッセージが入ってくることもあるそうです。
特に建設業用に開発されたシステムではなく、シンガポールでは一般の人が日常生活で使っているものです。
とても使いやすいので、シンガポールの工事現場では、どこでも使っているそうです。
つまり、スマホを持っている作業員1人ひとりがカメラを持ち、情報を見える化するのに貢献していることになります。
トンネル工事の最前線までIT化が行われているとは、さすが、シンガポールの現場ですね。