商売っ気あるデータベース!バーチャル・シンガポール開発現場を直撃
2016年2月24日

管理人のイエイリです。

シンガポールでは、7300万シンガポールドル(約61億円)をかけて、国土をまるごと3Dモデル化する「バーチャル・シンガポール」の開発が進められています。

昨日(2月23日)、その開発が行われているシンガポールの国立研究財団(NRF)を直撃取材してきました。

NRFのあるビル。国立シンガポール大学のキャンパスの一角に位置する(以下の写真:家入龍太)

NRFのあるビル。国立シンガポール大学のキャンパスの一角に位置する(以下の写真:家入龍太)

出迎えてくれたバーチャル・シンガポールの開発スタッフ。右から2人目がディレクターのジョージ・ロー(George Loh)氏

出迎えてくれたバーチャル・シンガポールの開発スタッフ。右から2人目がディレクターのジョージ・ロー(George Loh)氏

話を聞くと、バーチャル・シンガポールは、国土全体を単に3D化するだけでなく、様々な属性情報や写真、書類などのデータをひも付けたり、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

センサーで得たデータ

 

など、リアルタイムなデータまで取り込もうとしていることが明らかになったのです。

つまり、国土全体をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)化するだけにとどまらず、3Dモデル上にシンガポールの情報を集約する「プラットフォーム」としての機能を目指しているというわけです。

プラットフォームとなるシステムには、ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE City」(YouTube動画)を使っています。

その用途は、都市の3Dモデルを使ったシミュレーションや、インフラ管理、エネルギー管理など様々なものが計画されています。

バーチャル・シンガボールのイメージ。国土の3Dモデル上に様々なデータをひも付けていく(資料:NRF)

バーチャル・シンガボールのイメージ。国土の3Dモデル上に様々なデータをひも付けていく(資料:NRF)

バーチャル・シンガボールの用途。当初(左)は都市の3Dモデルを使った景観や風などのシミュレーションが中心だが、将来的には地下インフラの管理やエネルギー管理などに広げていく(資料:NRF)

バーチャル・シンガボールの用途。当初(左)は都市の3Dモデルを使った景観や風などのシミュレーションが中心だが、将来的には地下インフラの管理やエネルギー管理などに広げていく(資料:NRF)

そのため、集約される情報の詳細度(LOD)も、様々なバリエーションがあります。例えば「LOD0」は地形、「LOD1」は建物をブロックで表現、「LOD2」は屋根付きの建物、「LOD3」はリアルな外観を盛った建物、そして「LOD4」は内部まで表現した建物、といったイメージです。

都市のモデル化に使われる建物のLOD基準(資料:NRF)

都市のモデル化に使われる建物のLOD基準(資料:NRF)

シンガポールと言えば、2013~2015年にかけて、建築確認申請でのBIMモデル提出が3段階で義務化されてきました。

当然、そのデータも入力するのかと思いきや、「BIM自体はモデルは重すぎるので、バーチャル・シンガポールでの利用に必要な情報だけを抜き出すシステムを、今後、開発していく」(ジョージ・ロー氏)とのことでした。

つまり、バーチャル・シンガポールは、実物のシンガポールをそっくりそのままデジタルデータとして再現する「仮想化(バーチャライズ)」、見える化する「可視化(ビジュアライズ)」の機能があります。

そして経済発展めざましいシンガポールらしく、3つ目の機能として

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

「商業化」

 

を意味する「ベンチャライズ」というコンセプトがしっかりと位置づけられているのです。

これらの3大機能を表す英語(Virtualize、Visualize、Venturize)の頭文字をとって「3つのV、V3」と読んでいます。

バーチャル・シンガポールの3つのV(資料:NRF)

バーチャル・シンガポールの3つのV(資料:NRF)

具体的には、スマホのアプリを使った商業施設の案内や、携帯電話の基地局を効率的に配置するための電波の伝搬解析、人の動きを解析する群集シミュレーションや災害時の避難を効率化する救助シミュレーションなどです。

スマホアプリとの連動や商業施設の案内など、商売っ気もたっぷり(資料:NRF)

スマホアプリとの連動や商業施設の案内など、商売っ気もたっぷり(資料:NRF)

国家で開発するデータベースを、民間の利益につなげていこうという発想は、さすがにシンガポールですね。

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