レノボ ThinkStation E31 SFF活用事例/BIM LABO
BIMの専門家がソフト、ハードの選び方を徹底解説(レノボ・ジャパン)
2013年3月29日

大阪を拠点とする「BIM LABO」は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及と活用をテーマにアクティブな活動を続けるエキスパート集団だ。レノボ・ジャパンがBIMユーザー向けに開発したワークステーション「ThinkStation E31 SFF」に、代表的なBIMソフト3本を実際にインストールし、業務の内容に応じたソフト・ハード選びのコツを解説してもらった。

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レノボ・ジャパンがBIMユーザー向けに開発したワークステーション「ThinkStation E31 SFF」でBIMソフトの操作性を検証するBIM LABOのメンバー

   BIMユーザー向けに開発された「E31 SFF」

 「3本のBIMソフトが同時に立ち上げてもスイスイ動きますよ」―――大阪市北区にあるBIM LABOのオフィスで、今春、メンバーに加わった内藤友貴氏が歓声を上げた。3本のソフトとは、オートデスクの「Revit」、グラフィソフトの「ArchiCAD」、エーアンドエーの「Vectorworks」だ。

 代表的な意匠設計用BIMソフト3本をインストールし、同時に立ち上げたのはレノボ・ジャパンのワークステーション「ThinkStation E31 SFF」(以下、E31 SFF)だ。オフィススペース面で制約の多い日本のBIMユーザーのために、同社が特別に開発した機種だ。

 筐体の体積は11リットルとコンパクトだが、マザーボードはタワー型ワークステーション「E31」(体積25リットル)と同じものを使用し、CPUにはインテルXeonプロセッサー「E3-1200 v2ファミリー」、グラフィックボードには「NVIDIA Quadro 600グラフィックス」、そして最新の「Ivy Bridgeアーキテクチャ」を採用した本格派だ。起動が速いSSD付きのモデルもある。

 そして動作時の音も約24dBと静かなので、オフィスで集中してデザインに取り組む時にも気にならない。小さくても高性能なBIMユーザー向けのマシンだ。

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「E31 SFF」(左写真左側)は体積が11リットルとコンパクトだが、タワー型の「E31」(左写真右側。体積25リットル)と同じマザーボードを使用している本格派ワークステーションだ。「E31 SFF」の重量は最大でやく7.5kgなので小脇にかかえて簡単に持ち運べる(右写真)

  BIMのエキスパートが集まる「BIM LABO」

「BIM LABO」は、大阪や兵庫で活躍するBIMユーザー5人が2011年5月に結成した。

 以来、「BIMを伝える」、「BIMコンテンツを創る」、「BIMを使える人を育てる」、「BIMを創るソフトウェアを開発する」という4つのミッションを掲げて、建築設計の普及と活用をテーマにアクティブな活動を行ってきた。

 例えば、自らがBIMの革新的な活用にチャレンジするため、48時間で課題の建物を設計するBIM仮想コンペ「Build Live Kobe 2011」(主催:IAI日本)に参加した。BIMモデルデータを基に3Dプリンターで模型を作り、拡張現実感の技術によってBIMモデルと現場の風景を重ね合わせて確認するデモンストレーションも行うなど、新機軸のBIM活用を実践してみせたのだ。その結果、見事、神戸市長賞などを獲得した。

 また、建築設計者を対象にBIMの導入方法や、仮想コンペでの体験などを解説するセミナーや、2012年には専門学校の校舎を借り切って大規模イベント「大収穫祭-秋の人(じん)- ~関西から3D?BIMを盛り上げよう」を開催した。このほか、BIMに設計実務者向けに「ArchiCAD BIMガイドライン(基本設計編・実施設計編・確認申請編)」も制作した。

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BIM仮想コンペ「Build Live Kobe 2011」で行った拡張現実感を利用してのデモンストレーション(左)。神戸市市長賞の授与式(右)
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2012年に開催した大規模イベント「大収穫祭-秋の人- ~関西から3D?BIMを盛り上げよう」の会場に集まった多数の参加者(左)。ArchiCAD BIMガイドライン(右)

 これらの活動を通じて設計実務におけるBIM活用のノウハウを蓄積してきたBIM LABOのメンバーは、これからBIMを始める設計者にこれら3本のソフトを例に業務にあった選び方や、これからのBIMの方向性にあったハードの選び方を次のようにアドバイスしてくれた。

  BIMソフトの個性を生かした選び方

 BIMは、建物の3次元形状と各部分の属性情報をひとまとめにした仮想の建物モデルをコンピューター上に作りながら設計を進めていくのが特徴だ。一口にBIMソフトと言っても、今回、意匠設計用BIMソフトの例として取り上げたRevit、ArchiCAD、Vectorworksには、それぞれに個性がある。

 「意匠、構造、設備の設計をすべてBIMで行いたいという設計者には、Revitシリーズがお勧めです。図面の仕上げによく使うAutoCADも併用しやすいです。Building Design Suiteという各種BIMソフトのパッケージ製品もあり、これに含まれているRevit 360は意匠、構造、設備のすべてに対応できるようになっています」と鈴木裕二氏(アド設計 代表)は語る。

 「意匠設計を中心に行う設計者には、私としてはArchiCADをお勧めします。1つのBIMモデルをインターネットやLAN上で複数の設計者が共有し、共同作業によって同時並行で設計を進められるチームワークという機能も手軽に使えて便利です」というのは亀岡雅紀氏(ディースタイル カンパニー 代表)。

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BIM LABOのメンバー。右から代表の河野誠一氏、新貴美子氏、内藤友貴氏、鈴木裕二氏、亀岡雅紀氏

 「SketchUpのような3Dモデリングソフトに慣れ、その延長線の感覚でBIMに取り組んでいきたいデザイン志向の設計者にはVectorworksがいいでしょう。図面の作成もできますし、Renderworksという本格的なレンダリングソフトと連携して、プレゼンテーション用の高画質のCGやアニメーションも作れます。ArchiCADにもArtlantis Studioという本格的にレンダリングソフトがあります」と、新貴美子氏(ATELIER NEWS 代表)が続ける。

  個人、小規模事務所は廉価版でも十分

 Revit ArchitectureやArchiCADはどちらも70万円台で、初めてBIMにチャレンジする設計者には価格面がネックになるかもしれない。これらのソフトには廉価版のRevit LTやArchiCAD Soloも用意されているが、その機能はどうなのか。

 Revit LTについて鈴木氏は「レンダリングやソフトのカスタマイズを行わないならRevit LTでも十分に使えます。何本も導入するなら、1本は一般バージョンのRevitにして残りはRevit LTにすると安心でしょう」と説明する。

 一方、亀岡氏は「ArchiCAD Soloには外部参照やチームワーク機能が省かれていますが、共同作業を行わない個人や小規模事務所であれば十分に使えるでしょう」と言う。

 廉価版ソフトでも、建物の3次元形状と属性情報をひとまとめにした仮想の建物モデルで設計を進めるという点では変わりない。3次元モデルによって図面を作成する効率や図面間・設計図書間での整合性確保、分かりやすいプレゼンテーションなど、BIMによる生産性向上や設計品質のアップは変わらないのだ。

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BIM LABOのオフィスで作業するメンバー

  BIMソフトを使うハードの条件

 今回はレノボ・ジャパンのワークステーション「E31 SFF」にRevit、ArchiCAD、Vectorworksの3本のBIMソフトをインストールし、同時に起動するという、実務では珍しい状態でもスムーズに動作した。BIMソフトをストレスなく使えるマシンにはどんなものを選んだらよいのだろうか。

 2次元CADに比べて、BIMソフトは容量が大きい設計データを扱い、ウオークスルーや視点の移動など3次元情報をスピーディーに処理する必要などがあるため、ハードウエアも高機能のものが必要となる。

 BIM LABOでは各ソフトベンダーが推奨するCPUやメモリー容量、グラフィックボードなどの仕様を調査した。そのデータと比べても、BIM用として開発された「E31 SFF」は意匠設計者にとって、これら3本のBIMソフトはどれでも十分に稼働できることが確認できたという。

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「E31 SFF」なら3本のBIMソフトも同時に起動して使える。左からVectorworks、ArchiCAD、Revit

 「32ビット機でもBIMソフトは動きますが、使えるメモリーが4GBまでに制限されるので、64ビット機をお勧めします。メモリーは8GBくらいあれば普段の作業に困ることはないでしょう。多数のソフトを同時に立ち上げて作業するような状況でもない限り、意匠設計用BIMソフトで16GBまで必要なことはほとんどありません」とBIM LABO代表の河野誠一氏(彩’s FACTORY 代表)は説明する。

 グラフィックボードについては、BIMソフトを使う場合、マシンのCPUに内蔵されているグラフィックス機能は使えないと考えた方がいい。E31 SFFはBIMソフトの使用に適したグラフィックボード「Quadro 600」に対応している。上位の「Quadro 2000」が搭載できるタワー型のE31も用意されており、ユーザーの業務に応じて選べる。

 「従来の2次元CADとBIMを併用する人にはQuadro 600、BIMをメインに使う人にはQuadro 2000がお勧めでしょう。グラフィックボードを後付けする場合にはうまく動かなかったというトラブルもありがちです。その点、E31 SFFは本体とグラフィックボードの相性も検証済みなので安心して使えます」(河野氏)。

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 CPUには、64ビット機としての高い性能を引きだすインテル® Xeon® プロセッサーを搭載したモデルを勧めたい。E31 SFFは最新のインテル® Xeon® プロセッサーE3-1200 v2ファミリーを搭載している。3GHz以上の高クロックと4コア/8スレッドによりBIMの操作レスポンスも更に向上する。

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マザーボードやCPUから、グラフィックボード、メモリーまで、様々な意匠用BIMソフトの性能を最大限に引き出せる「E31 SFF」

  設計から施工へと広がるBIMの活用

  鈴木氏は「最近のBIM活用のトレンドとして設計から施工へと広がりつつあります」と言う。「施工の問題点を設計段階で解決する“フロントローディング”を行うためには、設計段階で様々な検討を行い、その情報をBIMのデータにインプットしておくことが必要です。その情報の内容や細かさなどを客観的に表せるようにするためBIM LABOでは『LOD(Level Of Development)』という指標を採用し、独自のLOD基準を作成しました。顧客企業にも納得してもらっています」(鈴木氏)。

 施工へと進みつつあるBIM活用に対応していくと、これまで以上に詳細な設計データを扱う機会も増えそうだ。その点、E31 SFFはBIMソフトを使う基本的な性能に優れ、将来、業務上の必要に応じてメモリーやグラフィックボードなどを拡張していくことができる。また、万一、故障した時もすぐに修理に駆けつけてくれるワークステーションならではの保守体制も、BIMを業務で本格的に活用する上で安心だ。

 BIM LABOは「E31 SFF」をオフィスに導入することを決めた。今後、BIMの可能性を広げ、新しい建築ビジネスを切り開くBIM LABOの活動を最前線でサポートしていくことになるだろう。

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BIM LABOがオフィスを構える扇町キッズパーク
●BIM LABO
20130329Lenovo13.jpg  設立 2011年5月
 メンバー 6人(2013年4月現在)
 活動内容 セミナー開催、BIMモデル作成、熱流体解析シミュレーション、構造設計など
 所在地 〒530-0025 大阪市北区扇町2-1-7
扇町キッズパーク3F メビック扇町内
プロデューサーサポートオフィス7号室
 URL http://www.bimlabo.jp
 E-mail info@bimlabo.jp

 

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