BIMソフト「Revit」を、業務のスキマ時間に無理なくオンラインで学習できる「SEEVA BIM オンラインスクール」が誕生した。1日20~30分、業務の合間に短い動画解説を見ながら、少しずつ建物のモデリングを行っていくだけで、3カ月後には実務に使えるBIM実践力が身につくのだ。
20~30分のスキマ時間でRevitをマスター
日本の人口は今後、減少の一途をたどることが予想され、建設業ではより少ない人数で設計や施工を行えるように、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)による生産性向上が喫緊の課題になりつつある。
その実現には、3Dで建物を設計するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用を避けて通ることはできない。
しかし、あわただしく日々の業務に追われる中で、BIMを実践的に活用できるスキルをどう身につけるか、講習会などに学習するまとまった時間をどう確保するか、そしてBIMをマスターするまでやり遂げられるかといった心配によって、BIM導入を先送りしている企業も少なくないだろう。
こうした背景の中、代表的なBIMソフト「Revit」を職場や自宅にいながら、オンラインで無理なく学習できる「SEEVA BIM オンラインスクール」が2022年5月に開校した。運営を担うのは、SEEZ(本社:東京都港区)だ。同社の代表取締役社長を務める大槻成弘氏は、大手設計事務所でBIM環境の構築や教育などに取り組んだ経験を持っている。
BIM教育の現場を知り尽くした大槻氏は、「2~3日のBIM講座を受講して、後はなにもしないケースがよくありますが、このオンライン講座は毎日、スキマ時間に20~30分ずつ継続することで3カ月後には実務で使えるBIM力が自然に身につくように工夫しています」と説明する。いったい、どんな講座なのだろうか。
5分間の動画でコマンドをマスター
「SEEVA BIM オンラインスクール」は、動画を中心としたeラーニング教材を使って、いつでもどこでも学べるのが特長だ。短い動画でコマンドを学びながら、Revitで建物のモデリングを行う「ケーススタディー」を行う。
Revitのコマンドごとにまとめられた動画は、1コマわずか5分程度。わからなければ何度も繰り返し見て、確認しても負担にならない長さだ。
「カリキュラムの作成に当たっては、実務で使える実践的なスキルを習得できるように工夫しました。Revitの操作方法だけにとどまらず、BIMのモデリングからコラボレーション機能までのワークフローを学べます。教材は大手の建設会社や設計事務所のBIMエキスパートに監修してもらう予定です」と大槻氏は言う。
BIMの初心者が3カ月で目指すのは「BIM Technician」というレベルをクリアすることだ。この段階では、Revit上で建築物のモデリングと属性情報を入出力する技術と能力を持ち、プロジェクトチームの一員として業務を担える程度の実力が身につくことになる。
その過程は、BIMの関連知識や基礎知識、Revitの基本操作を動画で学び、各セッションの確認クイズや総合試験による診断、アドバイスによる復習で弱点を補強していく。
その後、実務応用力を養うため、実際の設計業務と同じように、木造建築物をRevitでモデリングする「ケーススタディー」から始まり、RC造建築物やS造建築物の講習へとじっくりと進んでいく。
仕上げは「SEEVA BIM資格試験」を受けて合格すると、BIM Technicianがクリアされたことになる。
学科と技術の2部構成で学ぶ
では、その具体的なカリキュラムは、どうなっているのだろうか。BIM Technicianコースを例に見てみよう。
下の表は、それぞれの学習に用意された動画のコマ数だ。BIM Technicianコースでは、1つの動画は約5分なので合計約900分(約15時間)程度だ。
最後に行うRevitモデリングに最も多くの時間が割かれている。それまでに学んだ知識を復習しながら、実践的に活用できるようにするためだ。これ以外に、受講者自身がマウスやキーボードを操作してモデリング作業を行う時間として、約10時間が見込まれている。
カリキュラムはこのようにBIMの知識や操作を学ぶ「学科」と、実際にRevitを操作して建物のモデリングを行う「技術」の2部構成からなっている。
動画の視聴とモデリング作業の時間を合計すると、22時間ちょっととなる。これを3カ月で割ると、平日だけだと約20分になる。しっかり理解するために、動画を1日に2回見直したとしても30分だ。
メンターとトレーナーが“完走”をアシスト
通信教育やオンライン教育でありがちなのは、受講者が最後まで講座を受講せず、途中で投げ出してしまうことだ。
「当スクールには、受講者の学習の進捗を確認し、目標に向けて励ます『メンター』と、オンラインで対面指導を行う『トレーナー』がいます。オンライン講座ですが、動画再生だけでなく、リアルな担当者が受講者に伴走することで、3カ月後にBIMをマスターできるようにサポートします」と大槻氏は説明する。
BIM Technicianとして、BIMの実務を担えるようになった受講者は、その後、プロジェクトや組織の中でリーダーシップをとる「BIMマネジャー」へと成長していくことになる。
SEEVA BIM オンラインスクールでは、こうしたニーズに対応するため、意匠・構造・設備のBIMスキルをさらに高めた「BIM Specialist」、BIMプロジェクトを担当できる「BIM Coordinator」、そして組織内でBIM業務を統括する「BIM Manager」のコースも増設していく予定だ。
「各段階へステップアップする試験では、合否だけでなく、1000点満点のスコアやレーダーチャートによって、現在の知識や技術レベルを客観的に評価・分析できます。スコアの証明書も発行するので、企業がBIM人材を採用するときの判断基準にもなるでしょう」と大槻氏は説明する。
第1回の「BIM Technician」を対象としたBIM資格試験は、2022年9月に行われる。
このほか、SEEZでは企業向けのオンライン掲示板を開設し、SEEVA受講生のスキル情報を公開し、受講者にコンタクトが取れる環境も提供する予定だ。
気になる「SEEVA BIM オンラインスクール」の受講料は18万8400円(税込み)、BIM検定料は1万1000円(同)とリーズナブルだ。SEEZでは、無料体験コースも設けているので、BIMの実践力を短期間で高めたい設計事務所は、検討してみてはいかがだろうか。
【問い合わせ】
株式会社 SEEZ |