図面を活用するソフト「Bluebeam Revu」と4Kタブレットを
大成建設が徹底評価(パナソニック ソリューションテクノロジー)
2015年2月9日

建設業では工事現場や支店など、CADソフトは使わないものの図面を活用する人は多い。そんな人にお薦めの図面活用ソフトがパナソニック ソリューションテクノロジーが発売した「Bluebeam(ブルービーム) Revu(レビュー)」だ。PDF化したCAD図面のチェックや変更指示が簡単にできるほか、作業履歴や進ちょく状況も自動的に記録する。大成建設はこのソフトをパナソニックの20型Windows対応タブレット、「タフパッド 4K」と組み合わせて試験運用中だ。

Bluebeamと4K タフパッドについて語る大成建設建築部企画室課長の田辺要平氏

Bluebeamと4K タフパッドについて語る大成建設建築部企画室課長の田辺要平氏

   CAD図面を活用する技術者に最適なBluebeam Revu

「CADソフトを使う程ではないが、図面をチェックしたり、施工管理に使ったりする技術者には、Bluebeam Revuこそ最適なソフトです。」と開口一番語るのは、大成建設建築部企画室業務改革推進担当課長の田辺要平氏だ。

「その理由は、わずらわしい作図メニューがなく、図面を活用する技術者にとって必要な図面のチェックや検索、数量計算などの機能が使いやすくできているからです。」(田辺氏)

Bluebeam RevuはWindows対応ソフトなので、デスクトップパソコンやノートパソコンでも便利に使える。しかし、田辺氏は現場での打ち合わせには、パナソニックの20型Windows対応タブレット「タフパッド 4K」上で使うことを勧める。

「タフパッド 4Kと組み合わせて使うことで、紙図面を扱う感覚で背伸びしないIT化が実現できます。」(田辺氏)

20150207Panasonic-02大成建設建築部企画室課長
田辺要平氏
1994年大成建設へ入社したのち、様々なプロジェクトの施工管理に従事。 1997年本社建築本部へ異動後は、大型積算システム開発の担当や同社住宅事業のIT化を指揮。

2003年には三菱商事「建設サイト・シリーズ」の開発協力および社内導入を担当し、現在は建築施工 部門のASP・クラウド利用などを中心とした業務改革のIT責任者となる。

2011年リリースのiOSアプリ「Field Pad」では企画・開発の中心メンバー。これまでの経験を元に、2014年7月より企業内イノベーターを支援する「InnovationCafe 」の実行委員に。現在、大塚製薬のSOYJOYキャンペーンサイトでも掲載されている。

大成建設は2014年7月に、同社横浜支店と中国支店で、Bluebeam Revuとタフパッド 4Kを試験的に導入し、効果を検証している。

Bluebeam Revuは、日本の建設業界ではまだあまり知られていないが、米国の建設業では、“定番”と言ってもいいほど、設計者や施工管理技術者の間に普及しているWindows7/8用のソフトだ。ひとことで言うと、PDF化された図面専用の閲覧・編集ソフトなのだ。

PDFファイルを修正したり、朱書きで変更指示をしたりできるソフトは、様々なものが市販されている。しかし、田辺氏はなぜ、Bluebeamを評価するのか。その理由は、図面を活用する技術者のニーズに合った機能が満載されているからだ。

  検討個所を自動的にリスト化

田辺氏がBluebeamの便利な機能として指摘したのは、図面上の問題や課題をPDF図面上に朱書きできるだけでなく、その部分を自動的に一覧表として作成する機能だ。さらに、一覧表とPDF図面の該当個所は相互にリンクされるので、図面と一覧表を付き合わせて探す手間も不要になる。

「Bluebeam Revu」には朱書き内容とリンクした一覧表を自動作成する機能が備わっている重機の配置や動きなどを考慮したCIMモデル

「Bluebeam Revu」には朱書き内容とリンクした一覧表を自動作成する機能が備わっている重機の配置や動きなどを考慮したCIMモデル

一覧表には、雲マークや文字など朱書きの種別や日付とともに、コメント内容や作成者の名前が書き込まれる。

「小さな朱書きだと、図面上で見落としてしまうもありますが、漏れなく一覧表になっていると、確実に修正作業が行えます。これまでは紙図面上に朱書きするとともに、修正個所などを表計算ソフトで別書類としてまとめていましたが、図面ファイルと一覧表が一体化されることでその手間が全く不要になります」と田辺氏は語る。

一覧表には、修正指示に対応して、その後、どのような対応が取られたのかを確認する進ちょく管理機能も備えている。例えば修正指示を受けたCADオペレーターが、CADで図面を修正しながらBluebeam Revu上で完了確認のチェック用「レ」印を入力したり、干渉を解決するように指示された設計者が設計変更内容をコメント欄に記入したりして、報告できるのだ。

「一覧表の形式は、自由にカスタマイズできるようになっています。これまで現場で使っていた紙の管理表と同じ様式にすることで、紙ベースからITベースへの管理にスムーズに移行することができるでしょう」(田辺氏)。

これらの一覧表は、図面とともにPDFファイル内に「タグ」付きのデータとして保存される。Bluebeam RevuでこのPDFを開けば、画面下に一覧表として表示される仕組みだ。他のPDF閲覧ソフトでは、ファイルの最後に一覧表のページが表示されるようになっている。これらのPDFファイルを、クラウドやサーバーによって建設関係者間で共有すると、さらに情報共有がスピーディーに行えることになる。

  2枚の図面の違いを発見し、マーキング

もう一つの便利な機能としては、2枚の図面を比較して違っている部分を見つけて雲マークを表示する「図面比較機能」がある。

図面がちゃんと指示通りに修正されているかを確認するために、これまでは新旧の図面を付き合わせて人の目でチェックしていたが、Bluebeam Revuを使うとこの作業が瞬時に行えるのだ。

この場合も、図面上で違っている個所は雲マークと連動した一覧表が作成される。直し間違えがあった場合には、一覧表のコメント欄に記入してPDF図面を保存し、メールでCADオペレーターに送り返すだけでいいので手間もあまりかからない。その他、複数図面の重ね合わせ機能にも対応している。

左右の2枚の図面を比較して違っている部分に雲マークを付ける機能。画面下に一覧表が表示されている

左右の2枚の図面を比較して違っている部分に雲マークを付ける機能。画面下に一覧表が表示されている

  面積や体積、部材の集計もスピーディーに

このほか、現場の技術者にとって便利なのはPDF図面上で面積や体積の計算を行える機能だ。図面上のある部分を多角形や曲線などで囲み、面積を計算できるものだ。高さを掛け合わせると体積も算出できる。

湾曲や穴などがある複雑な形状の部材でも、曲線トレースや除算するカットアウト機能によって正確に面積や体積を見積もれるのだ。

「現場で生コンクリートの発注量を正確に計算する場合にも、便利に使えそうです」と田辺氏は言う。

湾曲を含んだ、複雑な部材の面積をPDF図面上で計算し、コンクリート量を求めた例

湾曲を含んだ、複雑な部材の面積をPDF図面上で計算し、コンクリート量を求めた例

さらに、図面上にあるトイレなどの図形を自動的に検索する機能もある。それぞれの図形が図面上のどこにあるのかを、図面上にチェック印で示すとともに、それぞれのチェック印に対応した一覧表も作られ、数もわかる。

そして驚くべきことに、この機能は紙図面をスキャンしてPDF化した図面でも使えるのだ。

「もちろん、図面の状態によっては見落としもありますが、大半の作業をソフトに任せて、見落とした分を技術者の目で確認するようにすることで、数量拾いの作業は大幅に効率化できるでしょう」と田辺氏は説明する

トイレの図形をPDF図面上で検索し、数量拾いを行った例。トイレの図形にチェック印が付いているのがわかる

トイレの図形をPDF図面上で検索し、数量拾いを行った例。トイレの図形にチェック印が付いているのがわかる

  BIM/CIMにもシームレスに対応

これからの建設業界で欠かせないのがBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3D設計技術への対応だ。

こうした建設業界の変化を取り込み、Bluebeam Revuには様々なBIM/CIMソフト用からPDFファイルを作成するプラグインが付属している。

例えば、BIMソフトのRevit、Navisworks、SketchUp Proなどから3次元PDFファイルを直接書き出すことができるのだ。

Bluebeam Revuでこの3次元PDFを開くと、BIM/CIMソフトと同様に様々な視点や視角で3Dモデルを見たり、拡大・縮小したり、断面を切ったりしてチェックできる。

3次元PDF化されたBIMやCIMの3Dモデルをある断面で切断して見た例

3次元PDF化されたBIMやCIMの3Dモデルをある断面で切断して見た例

そしてCAD図面と同様に、問題のある個所や修正事項などを朱書きできるのだ。朱書き個所は、スクリーンショットとともに一覧表に保存される。

修正指示などを受け取った設計者などは一覧表をクリックするだけで、3Dモデル上の修正個所をすぐに見つけて修正作業を行える。もちろん、その結果も一覧表に書いてメールで送るだけで報告できる。

BIMやCIMの3Dモデルも3次元PDFにして、図面同様にチェックや朱書きができる

BIMやCIMの3Dモデルも3次元PDFにして、図面同様にチェックや朱書きができる

  4Kタフパッドで活用し「背伸びしないIT化」を実現

Bluebeam Revuとタフパッド 4Kを試験運用中の大成建設横浜支店では、施工者の立場として契約図を検討するのに使っている。また、同社中国支店では着工から竣工までの設計変更の履歴や議事録の代わりに活用している。両支店での試験運用に参加した技術者からは好評を得ているという。

大成建設中国支店では、着工から竣工までの設計変更履歴の管理や議事録としてBluebeam Revuとタフパッド 4Kを試験運用している

大成建設中国支店では、着工から竣工までの設計変更履歴の管理や議事録としてBluebeam Revuとタフパッド 4Kを試験運用している

紙図面のようにタフパッド 4Kを囲んで会議することで、新しいアイデアも生まれやすくなる

紙図面のようにタフパッド 4Kを囲んで会議することで、新しいアイデアも生まれやすくなる

「スクリーンにプロジェクターでCAD図面やBIMモデルを映して会議すると、見ている人はどうしても“傍観者”になってしまいがちです。その点、タフパッド 4Kを図面の代わりにテーブルにおいて、それを囲みながら議論することで打ち合わせ参加者それぞれが主体性を持って考えたり、アイデアを出したりしやすくなるからです」と田辺氏は締めくくった。

なお、Bluebeam Revuの価格は約5万円。導入数量によっては割安な価格設定も可能だ。詳しくは同社に問い合わせてみるとよいだろう。

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