BIM+プレハブで生産性向上!施工はアイデアが勝負
2011年5月13日

管理人のイエイリです。

アメリカではBIMを使ってプレゼンテーションや設計を行うことはもう珍しくなくなって来たようです。建設関係者の興味は施工段階でBIMのメリットを生かし、生産性を上げていくことに移ってきました。

5月12日(アメリカ時間)、アメリカ建築家協会(AIA)全米大会の展示会場で、マグロウヒル・コンストラクション社のステファン・ジョーンズさんが施工段階でのBIM活用事情について講演しました。

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マグロウヒル・コンストラクション社の展示ブースで講演するステファン・ジョーンズさん(写真:家入龍太)

施工段階での生産性向上のポイントとは、

 

BIMとプレハブ化

 

にあるというのです。

例えば、設備会社のMMCコントラクターズ社(MMC Contractors)は、天井下の配管設備一式を輸送しやすい大きさの「モジュール」に分けて工場製作し、現場では設置だけを行うという作業方法を採用しています。

現場に設置するときに取り付け位置を決める「墨出し」には、トータルステーションに設備のBIMモデルのデータをインプットし、取り付け位置をレーザー照射することで誤差を1/16インチ(約1.6mm)以内に抑えているそうです。

また躯体のコンクリート打設をする前に、現場で3Dレーザースキャナーによる計測を行い、完成後の「竣工BIMモデル」の作成に生かしている例も紹介しました。

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工場製作した設備モジュールを現場に搬入し、取り付ける作業の例(Images: Stephen A. Jones)

マグロウヒル・コンストラクション社では5月11日、プレハブ化による生産性向上の実態を調査したレポート「Prefabrication and Modularization: Increasing Productivity in the Construction Industry」を発刊しました。(無料でダウンロード化)

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プレハブ化による生産性向上の実態を調査したレポート「Prefabrication and Modularization: Increasing Productivity in the Construction Industry」(Image: McGraw-Hill CONSTRUCTION)

800人以上の建設関係者を対象にした調査では、66%が「工期が改善された」と答えたほか、65%が「コストが低下した」、77%が「産業廃棄物が減った」と答えています。

レポートによるとBIMの普及がプレハブ化とモジュール化を加速しており、これは重要な新しいトレンドになっており、両者の相乗効果で建設現場の生産性向上と利益率を上げています。

ジョーンズさんの講演では、さらにダイナミックなBIMの活用事例が紹介されました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ヘリコプターと拡張現実感

 

を組み合わせて、現場上空から設計中の建物が完成時にどのように見えるのかを施主に説明したのだそうです。

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建設予定地に目印となるシートを置き、ヘリコプターに乗って拡張現実感で完成時の状態を確認した例(Images: Stephen A. Jones)

施工段階のBIM活用は、建設コストの大きな部分にかかわるだけに、様々なシステムとの連携や斬新なアイデアが勝負のカギを握りそうですね。

ジョーンズさんは最後に「問題は斬新な考えをいかに取り入れるかではなく、古い考え方をいかに排除するかだ」という言葉で講演を締めくくりました。既成概念のない若い建設関係者が活躍できるチャンスがやってきたようです。

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