管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による設計・製造・施工支援プラットフォーム「BuildApp」を運営する野原グループ(本社:東京都新宿区)は2024年1月に、全国の建設業界従事者を対象にインターネット調査を行い、1000人から回答を得ました。
同社は2月9日に、その結果の一部を「業界従事者が思う建設業界の課題と解決に期待するデジタル技術」として発表しました。
注目されるのは、BIM活用率で全体の37.6%がBIMを活用していると回答したのです。
調査対象者は、特にBIMに関心の高いグループの集団ではないと思われるので、平均的な数値と言えそうですね。ただ、回答者の29%を占めた大手企業では、BIM活用率は60%を超えていた半面、71%の中小企業では28.1%にとどまりました。
意外だったのは、業種別のBIM活用率でした。スーパーゼネコンや設計事務所を差し置いて、BIM活用率ナンバーワンになったのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
不動産デベロッパー
で、77.1%だったのです。(野原グループのプレスリリースはこちら)
建物のユーザー目線で、設計や企画内容をチェックしたり、合意形成を図ったりするために、BIMのビジュアルな分かりやすさを活用しているのでしょうか。また、最近は投資採算性の検討をBIMや土地のデータベースでスピーディーに行うシステムも増えてきたので、その影響もありそうですね。
業務別ではやはり設計や積算でのBIM活用率が45%以上と高く、施工管理や施工などの現場業務は25~35%でした。一方、営業では39%も活用されているのが意外でした。
一方、BIMを活用していない・できないと回答した624人から、その理由をたずねたところ、設計事務所や地方ゼネコンではソフトが高額であること、スーパーゼネコンや準大手・中堅ゼネコンではBIMを使うための習熟や人材不足といったスキル面での課題が浮き彫りになりました。
この調査では、建設業界の課題についても聞いており、人材不足や高齢化による技術継承、長時間労働などを指摘する回答者が多くを占めました。
その解決策として期待されているデジタル技術としては、
施工ロボット
が1位となり、図面管理システムやVR・AR・MRがそれぞれ2位、3位となりました。
施工ロボットは人手不足の解決、図面管理システムはクラウドによる移動などのムダ削減、VRやARなどはデジタルツイン(デジタルの双子)を施工管理に活用し、効率化を図るという意図が感じられますね。
野原グループでは、これらの結果を受けて、BIMソフトがなくても、BIMのメリットを感じて生産性を向上できるプラットフォームとして、BuildApp事業を強化していくとのことです。この戦略もBIMをベースとしている点が注目されます。