管理人のイエイリです。
商業施設やオフィス、学校などの内装事業を展開する船場(本社:東京都港区)は、2019年にBIM推進室を設立し、3Dビジュアライゼーションなどの活用に努めてきました。
その結果、2023年には140件以上のプロジェクトでBIMによる3Dビジュアライゼーションを活用し、合意形成の迅速化やプロジェクト関係者間の理解ミス減少、労働時間の短縮、クリエーティブ作業の時間増加といった成果を上げてきました。
一方、建設業界を取り巻く環境としては、2024年4月には時間外労働時間の規制強化が始まる「2024年問題」があるほか、2025年以降にはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による建築確認申請の図面審査が始まる予定です。
そこで同社は、BIM活用を深化させるとともに、新サービスの創出を促進するため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIM CONNECT本部
を2024年1月1日に発足させたのです。(船場のプレスリリースはこちら)
その役割は大きく4つあり、(1)BIMを活用した業務標準化とワークフロー改革の促進、(2)BIM活用人財の育成、(3)BIMにコネクトするビジネス活用、(4)全社的なBIMのプラットフォーム活用(情報共有)、となっています。
BIMによる3Dビジュアライゼーションをさらに社内に浸透させて抜本的なワークフロー改革に取り組むほか、船場独自の内装向けBIM研修カリキュラムやe-ラーニングコンテンツを構築し、2023年末現在で設計職の68%がBIMの基本技術を習得済みです。
このほか、空間デザインのノウハウを生かしたメタバースソリューション「Vterior」の提供や、BIMの属性情報のビジネス活用を進め、共通データ環境(CDE)によるBIMデータなどの一元管理やIT基幹システムとの連携を行い、BIMを会社基盤として活用することも検討しています。
本部長を務めるのは、1992年に入社し、商業空間の営業や開発に従事してきた多喜井豊氏です。
BIM CONNECT本部の発足に先立ち、同社は「DX戦略 2024」を策定し、2022年2月25日に発表しました。
この戦略の進ちょく状況や成果を評価する指標として、同社は
労働時間と労働生産性
という2つのKPI(重要業績評価指標)を設定していることが注目されます。
労働時間としては残業時間の月次推移を計測し、労働生産性は1時間当たりの付加価値額の推移を計測します。
2021年の実績で、すでに残業時間は月平均20時間を推移していることから、2024年問題もクリアできそうですね。
2024年問題対策にお悩みの方も多いと思いますが、突き詰めれば「毎日、早く帰る」ことを実行すればいいわけです。
様々な効率化や省人化の成果は、最終的に残業時間の削減という指標に現れてくるので、船場の管理指標はシンプルで参考になりそうですね。