管理人のイエイリです。
杭打ち作業で最も重要なことの一つは、杭が傾かないように鉛直に打設することです。
そこで、以前から杭の直角2方向から、トランシットやトータルステーションなどで杭の鉛直度を計測しながら施工することが行われてきました。
しかし、ケーシングパイプで穴を掘り、コンクリートを打設して作る場所打ち杭工法の場合は、地中部分のケーシング管の傾きを直接、見ることはできませんでした。
そこで三井住友建設は掘削作業中に、地中にあるケーシングパイプの傾きや位置をリアルタイムに見える化できる「ケーシング下端位置計測システム」を開発しました。
地盤を掘るケーシングパイプの中に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
センサーや通信機器
を内蔵することにより、ケーシングの下端までの位置や傾きを計測できるのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
ケーシングパイプには、上図のように2軸傾斜計(I)や通信制御基板(S)、バッテリー(B)などが内蔵され、ケーシングパイプのつなぎ目には送受信アンテナ(TA、TR)が取り付けられ、データを伝送できるようになっています。
ケーシングパイプ内で計測されたデータは、無線通信を使用して管理用パソコンに送られ、一元管理できます。
その結果、これまで行っていた2方向からの鉛直確認作業が不要になり、施工管理を省人化できます。
しかし、回転や圧入によって地盤を“ゴリゴリ”と掘るケーシングパイプには、摩擦や内部の土砂を掘るハンマーグラブの衝撃などが加わり、とてもセンサーや通信機器が耐えられる環境とは思えません。
そこで、ケーシングパイプの内側には、
鋼板で保護
されたエリアを作り、ここにセンサーなどを収納しています。
過酷な状況にされされるケーシングパイプに、まさかデリケートなセンサーや通信機器を取り付けられるとは思ってもみませんでした。その常識にとらわれず“タフなIT”を実現した三井住友建設の発想力と開発力は素晴らしいですね。