管理人のイエイリです。
ダム工事で目立つのは、上流側の水をしっかりとせき止めるダム堤体を盛り立てる作業です。
しかし、新潟県柏崎市で「鵜川ダム」を施工する前田建設工業は、堤体の底にある「監査廊」と呼ばれるトンネル内からの作業により多くの時間をかけています。
トンネル内から、いったい、どんな作業を行っているのかというと、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ダム堤体下の遮水
を行うため、「グラウチング」と呼ばれる薬液注入なのです。(MODEのプレスリリースはこちら)
この作業の施工管理では、(1)複数の地盤中の「間げき水圧」データと、(2)グラウチング施工のデータを比較することにより、地盤性状を把握しています。
これまでは間げき水圧計を、複数個所の地盤中に設置し、メモリーに保存されたデータを回収するという作業が必要だったので、月に1度しか回収できませんでした。
また、紙ベースの帳票のデータを突き合わせるに時間がかかるうえ、相関関係が分かりにくいという問題もありました。
そこで前田建設工業は、MODE, Inc(本社:米国カリフォルニア州サンマテオ市)が開発した「MODE IoTプラットフォーム」を導入し、2023年春の施工開始とともにシステム運用を開始しました。
これまでメモリーで収集していた間げき水圧などのデータをインターネットでリアルタイムに収集し、一つのプラットフォーム上で管理できるようにしたのです。
これまでバラバラの帳票で見ていた複数のデータを、一つの画面上にリアルタイム表示できるようになったことで、データの相関関係が分かり、幅広い分析が可能になりました。
その結果、
作業量は50%以下
に削減できたのです。
また、リアルタイムで確認できるようになったので、施工自体もデータ待ちのムダがなくなり、意思決定が早まり、リードタイムが短縮されました。
3Dモデルこそありませんが、地盤内の間げき水圧やグラウチング施工をデジタルデータで再現したことは、一種のデジタルツイン(デジタルの双子)と言えそうです。
そうなると、今後、AI(人工知能)を導入すれば、施工管理の自動化や最適化の実現も夢ではなさそうですね。