管理人のイエイリです。
2023年も11月後半となり、気温も一気に夏から冬へと変わりつつあります。雪国では、本格的な積雪を迎える前に、工事を完了しようと工程を急いでいる現場も多いのではないでしょうか。
新庄砕石工業所(本社:山形県新庄市)が、特別豪雪地帯に指定されている山形県最上郡金山町で施工中の擁壁工の現場もその一つです。
国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所新庄国道維持出張所が発注した工事で、長さ43.7mの重力式擁壁(高さ1.3~2m)の上に、長さ44.7mの落石防護柵工(高さ2m)を乗せた構造物を施工中です。
この現場では、工期を短縮する秘策として、
ナ、ナ、ナ、ナント、
建設用3Dプリンターを導入
したのです。
3DプリンターはPolyuse(本社:東京都港区)が開発したもので、モルタル状の材料を吹き出すノズルを、上下に移動するXYプロッターのようなものに取り付けた構造になっています。
この3Dプリンターで、内部が空洞になっている埋設型枠を作り、現場に設置し、内部に生コンクリートを打設して一体化させるものです。
3Dプリンターは現場から17.5km離れた新庄砕石工業所の倉庫に設置し、10月末から同社の入社1~3年目の若手社員が埋設型枠を製作しました。Polyuseは指導やサポートを行ったとのことです。
注目すべきは、工期短縮効果です。通常の型枠を使った工法だと97日間かかる予定でしたが、3Dプリンターの導入により58日間で工事が完了できる見込みとなり、机上の計算では工期が
39日間、約40%も短縮
されることになったのです。
実際はもっと短縮できたそうです。そのおかげで、雪が降るまでに工事を完了できる見込みとなりました。また、工期短縮に伴い、現場の交通規制期間も短くなりました。
Polyuseの3Dプリンターの施工実績は、2023年11月1日時点で53件となり、うち27件が国土交通省の工事です。現在進行中の施工案件を含めると累計100件を超えました。
こうした実績により、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」にも、「建設用3Dプリンティング」(NETIS番号:KT-230174-A)として登録されました。建設用3Dプリンター関連の技術が登録されたのは、日本で初めてです。(Polyuseのプレスリリースはこちら)
3Dプリンターはコンクリート工事における工期短縮の切り札としても、存在感を発揮してきましたね。2024年問題の解決策としても有効に活用できそうです。