管理人のイエイリです。
日本国内で3Dプリンターによる建設を手掛ける企業のうち、Polyuse(本社:東京都港区)は、倉庫(2022年3月15日の当ブログ参照)や道路の縁石(2022年9月13日の当ブログ参照)、排水部材(2021年12月23日の当ブログ参照)、集水ます(2021年7月2日の当ブログ参照)など、建築から土木まで、幅広い分野で日本一の施工件数を誇っています。
そして同社はこのほど、不動テトラ(本社:東京都中央区)と共同で、新たな部材の製作にチャレンジしました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
テトラポッド
を3Dプリンターで製作したのです。(不動テトラのプレスリリースはこちら、Polyuseのプレスリリースはこちら)
港湾工事で消波ブロックとして使われるテトラポッドは、通常、鋼製型枠を使って作られますが、職人の手作業が多いので、2024年問題をクリアするためには省人化が求められています。
そこで、3Dプリンターによるデジタル施工にチャレンジしました。
テトラポッドは4つの脚が星のように飛び出した形をしているため、下部の「三脚」となる部分の下には空洞を設ける必要があります。
これをクリアするため、「三脚」となる部分は既存の鋼製型枠を敷いてから、3Dプリンターで積み上げ、さらに上の脚を造形して完成させたのです。
テトラポッドは塩分や波にさらされる海洋環境下で長期間にわたって使われます。
そこで不動テトラは、港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市)と共同で、層状に造形された3Dプリンター用モルタル硬化体を使って、長期的な耐久性を確認する様々な材料試験を計画しています。
このほか、海洋構造物に付着する海藻類に大気中のCO2を吸収させる
ブルーカーボン
の効果を確認するため、モルタイル試験体を使って実海域での環境共生効果の検証試験も計画しています。
3Dプリンターで造形した部材は層状になっているので、ツルツルのテトラポッドより海藻などが付着しやすそうですね。消波ブロックの“緑化”という新たな景観や環境対策の効果も期待できそうです。