管理人のイエイリです。
最近、日本でも、モルタル状の材料を積層して、本物の建物や構造物を作る「建設用3Dプリンター」の事例が時々、発表されるようになりました。
つい先日も、セレンディクス(本社:兵庫県西宮市)が3Dプリンターを使って日本初の球形住宅を24時間以内で建設したというニュースが話題になりました。(詳しくは、2022年3月9日付けの当ブログ記事を参照)
また、建築専門誌の「日経アーキテクチュア」2022年3月10日号でも、「ここまで来た建設3Dプリンター」という大々的な特集が組まれています。
そんな中、当ブログがまだ報じていなかったニュースがありました。
建設用3Dプリンターを開発するスタートアップPolyuse(本社:東京都港区)は、このほど、MAT一級建築士事務所(本社:群馬県吾妻郡)と協力し、群馬県渋川市内に3Dプリンターを使って建築物を建設しました。
この建物は幅約6m、奥行き約3~4m、高さ約3mの平屋建てで、床面積は17m2です。
そこで両者は協力し、渋川市に
ナ、ナ、ナ、ナント、
建築確認申請を行い
見事、確認済証を取得したのです。(Polyuseのプレスリリースはこちら)
このプロジェクトは、3Dプリンターで施工した建物としては、国内で初めて建築確認を取得、施工した記念すべきものとなりました。
躯体に使用した12個のブロックは、あらかじめ3Dプリンターで製作しました。高さ150cmまでの内部を材料で充填し、1個当たりの造形時間は4~6時間とのことです。
これらのブロックを現場に搬入し、組み立てました。躯体の組み立ては約2日間で終了しました。
3Dプリンターによる建設というと、鉄筋が入っているのかが気になりますが、この建物ではブロック間を貫く空洞に鉄筋を入れて、最後に生コンで一体化する構造を採用しているようです。
3Dプリンターによる省力化効果は、全工期では従来工法に比べて約35%減、職人の人工は約30%減となりました。
そして、Polyuseには頼もしい助っ人も現れました。国土交通省が推進する「i-Construction」施策などに長くかかわってきた立命館大学教授の
建山和由氏がアドバイザー
として就任したのです。(建山教授のホームページはこちら/Polyuseのプレスリリースはこちら)
こうなると、建築にとどまらず、土木分野でも建設用3Dプリンターの活用が急速に進んでいきそうですね。
日本での建設用3Dプリンターの開発や活用は、海外に数年、後れをとってきましたが、セレンディクスやPolyuse以外にも、水面下で取り組みを行っている企業が増えています。2022年は「日本の建設用3Dプリンター元年」と言ってもよさそうです。