セレンディクスが日本初の3Dプリンター住宅を建設! 組み立て、仕上げは24時間で
2022年3月9日

管理人のイエイリです。

愛知県小牧市にある百年住宅(本社:静岡県静岡市)の小牧工場に、突如、球形のコンクリート製オブジェのようなものが出現しました。

百年住宅の小牧工場に出現した、コンクリート製オブジェのようなもの(以下の写真:セレンディクスパートナーズ)

百年住宅の小牧工場に出現した、コンクリート製オブジェのようなもの(以下の写真:セレンディクス)

いったい、これは何なのかというと、セレンディクス

ナ、ナ、ナ、ナント、

日本初の3Dプリンター住宅

として建設した家なのです。

兵庫県西宮市に本拠を置く同社は、3Dプリンターを使って球形の住宅建設を目指して起業したスタートアップ企業です。(詳しくは、2021年2月3日付けの当ブログ記事を参照

今回は、コロナ禍の影響で日本に3Dプリンターを輸入する時期が遅れたため、海外の3Dプリンターメーカー2社で出力した躯体パーツを日本に輸送し、組み立てました。

躯体は約20tでしたが、クレーンによる躯体の組み立て作業はわずか3時間で完了しました。

海上コンテナで輸送されてきた3Dプリンター住宅の躯体

海上コンテナで輸送されてきた3Dプリンター住宅の躯体

クレーンによる躯体の組み立て作業

クレーンによる躯体の組み立て作業

この住宅は球形なので壁は垂直ではなく、斜めになっています。構造はRC造です。

そのため躯体のパーツは、3Dプリンターで「打ち込み型枠」を二重構造で作り、その中に鉄筋が入れてあります。この3Dプリント技術は、世界でもあまり類を見ない、相当、高度なものですね。

躯体を組み上げた後は、二重構造の空洞部にコンクリートを打設して、鉄筋と一体化させます。

日本基準の耐震性能をクリアするために、構造設計は日本のエンジニアが担当しました。

躯体の断面。部材は上に行くに従って断面が広がる形状になっている。二重構造の中には鉄筋も見える

躯体の断面。部材は上に行くに従って断面が広がる形状になっている。二重構造の中には鉄筋も見える

躯体を組み上げた後、二重構造の空洞部に生コンを流し込み、鉄筋と一体構造にする

躯体を組み上げた後、二重構造の空洞部に生コンを流し込み、鉄筋と一体構造にする

その後、防水処理や開口部などの施工、塗装などを行いました。

躯体内部での仕上げ作業

躯体内部での仕上げ作業

開口部にはドアや窓が取り付けられた

開口部にはドアや窓が取り付けられた

足場を組んで、屋根の施工も行った

足場を組んで、屋根の施工も行った

躯体パーツの組み立てから、住宅としての形に仕上がるまでにかかった時間は、

わずか23時間12分

と、見事、24時間を切ることができました。

塗装し、完成した建物。24時間以内での施工に成功した

塗装し、完成した建物。24時間以内での施工に成功した

この住宅建設プロジェクトは、セレンディクスを中心としたコンソーシアムによって行われており、今回の現場施工では百年住宅のほか楓工務店(本社:奈良県奈良市)や辺重(本社:群馬県太田市)も参加しました。

セレンディクスではまず、コンソーシアム参加企業を対象に、この球形住宅「Sphere」(10m2、300万円)の限定予約を開始します。用途としては、キャンプ場の宿泊施設「グランピング」や別荘、災害復興住宅を想定しています。

また、今後はさらに耐震性能の強化にも取り組んでいくとのことです。

いよいよ3Dプリンターによる住宅建設が、日本でも始まりました。

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