管理人のイエイリです。
少子高齢化による人手不足に対応するため、工事現場では生産性向上や働き方改革の実現が大きな課題になっています。
そんな中、清水建設は現場の仕事を効率化するマシンを続々と投入していることを発表しました。
まずは2022年3月2日の発表です。
清水建設が東京・虎ノ門・麻布台地区で施工中の地上54階、高さ約240m、延べ床面積約17万m2というRC造の巨大タワービルでは、コンクリート打設を効率化するため、同社と極東開発工業(本社:兵庫県西宮市)が共同開発した「大型ディストリビューター」が投入されました。
地上から圧送されてくる生コンクリートを縦配管で上に送り、さらに長さ29mもの折り畳み式ブームで、各フロアのコンクリート打設位置まで水平方向に送るものです。
一見、コンクリートポンプ車のようですが、大きな特徴はコンクリート打設が終わると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
簡単に次の階に上る
ことができることなのです。(清水建設のプレスリリースはこちら)
ディストリビューターの塔はエレベーターシャフト内に設置されており、その基部には「アウトリガー」が付いています。
コンクリート打設が終わると、アウトリガーをたたんで、クレーンで次の階まで吊り上げてもらいアウトリガーを開いて固定するだけです。
従来も類似のマシンがありますたが、今回はアウトリガーの開発で装置専用の床開口や大がかりな補強が不要になり、移設作業が簡単になりました。
この現場では11月まで稼働し、約4万m2のコンクリートを打設します。現場でのコンクリ打設回数と打設時間を大幅に削減し、約2000人もの省人化を実現できるとのことです。
この大型ディストリビューターは近く、極東開発工業から外販されるそうですので、興味ある建設会社は使ってみられてはいかがてしょうか。
次は2022年3月4日の発表です。
清水建設は現場での資材搬送作業を省人化・省力化するために、フォークリフト型の自動搬送ロボット「Robo-Carrier Fork」を開発しました。
一見、普通のフォークリフトのようですが、荷物が載ったバレットの穴にフォークを差し込むという細かな調整を要する作業を自動的に行い、荷取り作業を行います。重さ1t、高さ3mまでの荷役が可能です。
また、自分自身の位置を「SLAM」(自己位置推定技術)を使って認識し、指定された場所まで無人で自律的に運搬します。
清水建設は既に、パレット積みの資材を水平搬送する自動搬送ロボット「Robo-Carrier」と垂直搬送エレベーター「Autonomous-ELV」を組み合わせた自動搬送システムを既に実用化しています。(詳しくは、2017年7月19日付の当ブログ記事を参照)
今回の開発で、荷下ろしから各フロアへの搬送まで、ロボットによる一貫作業が可能になりました。今後、工事現場への展開や社外へのレンタル、外販にも取り組んでいくとのことです。
最後は、2022年2月24日の発表です。
広い敷地で行われる土木工事では、現場内の移動がひと苦労です。よく見かける自転車は、体力を消耗し移動時間もかかります。またクルマは便利ですが、CO2排出やコスト、そして乗り降りや駐車といった手間もかかります。
もと九州大学があった福岡市東区の広大な敷地で、清水建設が施工中の「UR箱崎南雨水幹線築造工事」の現場も、事務所と現場が1km近く離れており、職員の移動が課題となっていました。
そこで、新たな移動手段として導入したのが、
電動キックボード
です。
電動キックボードの最高速度を自転車の平均的な速度より10km程度速い25kmに制御し移動を効率化しました。一方、車体に備えているGNSS(全地球測位システム)と通信機能を活用し、走行に適さないエリアではアクセルを無効化し、車体を停止する設定にしました。
これで、スピードと安全性を両立させた現場内モビリティー手段が実現しました。この現場では、常駐している社員7人のうち、5人が頻繁に現場と行き来することから、5台の電動キックボードを導入しています。
導入した電動キックボードは、ライドシェア事業を展開するmobby ride(本社:福岡市中央区)が提供する「mobby(モビー)」という機種です。
また、この電動キックボードのメリットとして、乗車回数や移動距離、乗車時間などの移動データの履歴が取得できることがあります。
清水建設では、土工事やシールドトンネル工事の現場にも試験導入を進めるとともに、移動データの可視化や分析を行い、作業者内での人の移動に伴う課題を抽出して、現場の運営をさらに効率化するとともに、働き方改革にもつなげていく方針です。
以上、清水建設の“マシン革命”について、お伝えしましたが、ありがたいのは同社がこれらのマシンを独占せず、外販などを行う予定があることです。これからも「買って使えるロボット」な