管理人のイエイリです。
建物の構造設計は、一般的に「一貫構造計算プログラム」を使って行います。
その手順はまず、担当者の知識や経験によって柱や梁などの太さを仮決めし、プログラムを走らせます。その結果、大幅に「セーフ」な部材や「アウト」部材が出てきます。
そして「ここは太すぎるからもう少し細くできるな」とか、「ここはアウトになったから、もっと太くしなきゃだめだ」といった具合に部材の仕様を変更し、またプログラムを走らせる、といったことを何度もトライアンドエラー繰り返して、最適な構造設計に収束させていきます。
この繰り返しは手作業なので、理想を追求すればするほど、時間もかかってしまいますね。
そこで安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富正)は、リバネス(東京本社:東京都新宿区)、ヒューマノーム研究所(本社:東京都中央区)、ソーラーテック(本社:東京都中央区)とともに、AI(人工知能)を利用した構造設計支援システムを開発しました。
このシステムによって、部材を変えては構造計算するというトライアンドエラーを自動化することができ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
必要な時間を半減
させることができるのです。(安藤ハザマのプレスリリースはこちら)
AIには、計算結果を見て各部材の仕様をAIで変更する「部材グルーピングシステム」と、そのデータを一貫構造計算プログラムに入力する「RPA」(Robotic
Process Automation)を使用します。
これらのシステムをループのように回すことで、誰もが短期間に
熟練設計者と同等以上
の結果を短時間で得られるのです。
手作業で行っていた部分にAIを導入することで、構造設計者の作業能力は“超人化”されるというわけですね。
安藤ハザマらは今後、部材グルーピングシステムとRPAを一体のシステムとして利用できるように開発を進め、構造設計のさらなる生産性向上を目指す方針です。
今回、開発に参加した各社の役割は、リバネスが「コンサルティング担当」、ヒューマノーム研究所が「AIシステム構築担当」、そしてソーラーテックが「コミュニケーション統括担当」となっています。
こうした幅広い分野の異業種企業が、建設会社との共同開発に取り組むのは、とても珍しいことですね。
しかし、建設会社はもともと多くの協力会社を束ねてプロジェクトを遂行していくのが得意ですから、今回、安藤ハザマはAI分野でもその経験と実力を生かしたと言えるでしょう。