管理人のイエイリです。
建築工事などの現場で使われるタワークレーンの運転は、部材を荷取り場から吊り上げ、障害物を避けながら設置位置まで移動させるため、高度な経験と技術が必要です。
しかし、少子高齢化の影響で熟練オペレーターは今後、減少していく方向にあります。
そこで三井住友建設は、IHI、IHI運搬機械と共同で「タワークレーン運転支援システム」を開発し、このほど東京・多摩市で建設中の超高層マンションの現場に導入しました。

東京・多摩市の超高層マンション「Brillia Tower聖蹟桜ヶ丘BLOOMING RESIDENC」の現場に導入されたタワークレーン。運転支援システムと吊り荷回転制御システムが搭載されている(写真:三井住友建設)
このシステムは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMとクレーンを連携
することで、吊り荷の最適な揚重経路を自動作成し、自動誘導してくれるのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
クラウド上に構築した三井住友建設の施工情報システムには、施工BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データや、プレキャスト(PCa)部材データ、作業工程データが一元管理されています。
また、PCa部材にはRFIDタグが張り付けられており、現場搬入時に自動読み取りを行い、部材の固有番号と自動照合します。(詳しくは、2018年12月20日付けの当ブログ記事を参照)
これらのデータを使って、タワークレーンが障害物を避けながら、PCa部材を荷取り場から設置位置の上空まで自動的に移動させる仕組みです。
このタワークレーンには、三井住友建設がオーストラリアのロボリガー・インターナショナル社(Roborigger International PTY.
LTD)と共同開発しした「吊り荷回転制御システム」も搭載されています。
吊り荷を空中移動させる際には、水平回転も制御する必要もあり、これまでは作業員が人力で吊り荷の付けたロープを引っ張るなどしていました。
そこでPCa部材が現場に搬入されたとき、GNSS(全地球測位システム)によってPCa部材の
位置と向き
の情報を取得し、BIMモデルの情報に基づいてPCa部材を設置する向きに自動的に回転・保持し、スムーズに降下させます。
三井住友建設は、2030年の実現に向けて、設計・施工計画と現場をデジタルデータでつなぐデータ連携システムの構築を進めています。
今後、これらのデジタルデータを蓄積し、施工シミュレーションや自動化でさらなる生産性と安全性の向上を図っていく方針です。