管理人のイエイリです。
夜間に行われることが多い鉄道工事で使われる工具は、ドリルや脚立など、数百種類にも上ります。うっかり、工具を現場に置き忘れたりすると、電車と接触したりして、重大事故につながりかねません。
そこで、東急建設では、現場への工具置き忘れを防止するため、厳重な工具の管理体制を敷いています。
その徹底ぶりは、まず資材置き場(ヤード)で持ち出す工具をリストに書き出し、現場に移動して作業開始前に1回、終了後に1回、ヤードに戻ってから1回の合計3回、一つずつ現物を目視確認しながらリストと照合して確認するといった具合です。
しかし、その分、工具の管理に割かれる手間ひまは、相当なものでした。
そこで東急建設とアイリッジ(本社:東京都港区)は、RFIDリーダーとスマートフォンアプリを活用した建設DXサービス「工具ミッケ」を共同開発し、2022年10月1日に販売を開始することになりました。
このサービスを使うと、現場に持ち出した工具類を
ナ、ナ、ナ、ナント、
数秒でチェック
し、持ち出しリストとの違いが一目でわかるのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
そのスピードの秘密は、工具に張り付けたRFIDタグにあります。RFIDリーダーから発射される電波を受けると、各工具に張り付けられたRFIDは、工具固有に割り当てられたデータを送り返します。
そのデータをRFIDリーダーが受信して、現場に持ち出す工具のリストを自動作成したり、現場でどんな工具があるのかを瞬時に把握し、不足している工具をスマホ画面上に表示したりできるのです。
また、RFIDリーダーを“金属探知機”のようにして、特定の工具を探すこともできます。
RFIDリーダーは、ユニクロのレジなどでも使われているので、身近になってきましたが、工具ミッケで使われているものは電波の出力が最大1Wと強力なタイプなので、8mくらい離れた場所のRFIDタグも検知できます。
そのため、トラック1台分の工具を
1分足らずで照合
できます。
まさに資材管理スピードを“超人化”してくれるツールですね。
気になるお値段ですが、月額5万円からとなっています。
東急建設は2022年10月中にこのサービスを5カ所の現場で本格導入するほか、アイリッジと取引実績のある鉄道会社を中心に2022年度中に20カ所の展開を目指しています。
以前、RFIDリーダーは特定の敷地内でしか使うことができませんでしたが、2019年に電波法が改正され、「陸上移動局」として移動中や出先でも使えるようになりました。
工具ミッケの導入でも、総務省に陸上移動局の登録に必要な申請を行う必要がありますが、サービスに含まれています。
それにしても、RFIDリーダーの性能向上には驚かされます。下記はデンソーウェーブがYouTubeに公開している動画ですが、建設業のバックオフィス業務の効率化に役立ちそうな機能がいろいろ出てきますよ。