三菱の橋梁工場に潜入!巻き尺を不要にする高精度写真計測システム
2012年2月22日

管理人のイエイリです。

トータルステーションや3Dレーザースキャナーなど、3次元座標を高精度で計測するシステムが土木や建築の分野で活用されています。

一方、写真を使った計測方法もあります。昨日(2/21)、三菱重工鉄構エンジニアリングの千葉工場で使われている写真計測システムを見学させてもらいました。

使用方法は至って簡単です。橋桁のあちこちに点が縦横5列に並んだ「コードターゲット」を張り付け、橋桁の端部など位置を計測したい部分には点が1つだけの「シールターゲット」張り、両端にターゲットを取り付けた「基準バー」を取り付けます。

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橋桁に取り付けたコードターゲットやシールターゲット(左)。位置を計測する橋桁の端点などにはシールターゲットを張る(右)(写真:家入龍太。以下、同じ)

そして、普通の1眼レフのデジタルカメラで、

 

写真を撮りまくるだけ

 

で、計測したい点の3次元座標が求められるというものです。

これは菱日エンジニアリングが開発し、JIPテクノサイエンスが販売している「PIXXIS(ピクシス)」というシステムです。

写真を撮るときは、フラッシュを必ず発光させ、橋桁の周囲をぐるりと囲むように移動しながら、カメラの位置も上下に変えながら撮ります。するとターゲットの点がフラッシュの光をカメラに向けて反射し、クリアに写ります。

気を付けなければいけないのは、必ず一つの画面に5個以上のコードターゲットを写すことです。I桁の場合は80枚くらい撮れば大丈夫です。

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写真を撮るときは必ずフラッシュを発光させ、カメラの位置も上下に変えながら撮るのがコツ。ターゲットの点はフラッシュの光をカメラに向けて反射する

その写真を、パソコンに読み込むと、システムの付属ソフトが各ターゲットの位置を解析し、その3次元座標を求めるという仕組みです。一つの橋桁の計測に要する時間は1時間程度で済むそうです。

各コードターゲットは、点の並びが違っており、2次元バーコードのように「ID」が読み取れるようになっています。これが、位置の解析に大きな役割を果たしています。

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パソコンで解析して求めたシールターゲットの位置(青い点)と、撮影したカメラの位置や向き(緑色のアイコン)

写真計測と聞いて、計測精度が甘いんじゃないかと思われる人もいるでしょう。ところがPIXXISの計測精度は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3万5000分の1

 

という高いのです。長さ10mの橋桁なら、±0.3mm程度の精度で測れます(1σベース)。

PIXXISの価格はデジタルカメラやパソコン、ソフトなど一式で550万円とのこと。千葉工場では、このシステムの活用により「巻き尺を使わないようにしよう」と、業務改革に取り組んでいます。

現在、PIXXISは橋梁や造船などを中心に、約20社に導入されています。鉄骨のボルト穴や配管設備のフランジ位置などもバッチリ計測できますので、建物の増築や設備改修などにも使えそうです。建築や設備の分野にはまだ普及していないようですが、いかがでしょうか。

工場を取材したとき、ビックリしたのは、モニターに大きく私の「ウエルカムメッセージ」が表示されていたことです。皆様のお心遣いによるサプライズの演出には感動しました。ありがとうございました!

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工場長の大山雄司さん(左)と。工場のモニターには、ナ、ナ、ナ、ナント、ウエルカムメッセージが表示され、感動の極みです(写真:保田敬一氏)

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