津波の破壊力に迫る!世界一スパコン「京」で3次元シミュレーション
2012年2月22日

管理人のイエイリです。

東日本大震災では、1000年に一度と言われる巨大津波が市街地を浸水させたほか、河川を遡上(そじょう)して橋を破壊したり、鉄筋コンクリートビルを倒壊させたりと、大きな被害をもたらしました。

 20120223-image4.jpg

東日本大震災の津波で浸水した地域(写真:家入龍太)

東北大学と富士通はこうした被害のメカニズムを解析するため、津波の高精度3次元シミュレーションの共同研究を行うことになりました。その解析に使われるのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、現在、世界最高速を誇る

 

スーパーコンピューター「京(けい)」

 

なのです。

 20120223-image2.jpg

世界最高速の性能を誇るスーパーコンピューター「京」(写真:川瀬英樹氏)

富士通が「粒子法」によって開発した大規模並列コンピュータ用の3次元流体シミュレーション技術と、長年、津波の研究を続けてきた東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター長の今村文彦教授が開発した津波伝播の2次元シミュレーション技術を連携・融合して新たに3次元津波シミュレーション技術を開発します。

粒子法というのは、流体を多数の粒子の集合体として扱う手法で、津波の波頭が前方に崩れる「砕波」など、複雑な挙動を解析するのに適しています。

一方、粒子法では波が伝わる過程で徐々に減衰していくという問題がありましたが、富士通と神戸製鋼所が共同開発した技術で克服します。これらの技術を使うことで、水槽実験結果と比べて10%程度の誤差で津波の動きを再現することができるそうです。

 20120223-image1.jpg

3次元津波シミュレーションのイメージ(資料:富士通)

 20120223-image3.jpg
東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター長の今村文彦教授(写真:家入龍太)

こうした解析は、大変なコンピューターパワーが必要で、複数のパソコンを接続して並列計算を行う「PCクラスタ」の技術を使っても、

 

500台のPCで5日間

 

かかるということです。とても現実的ではありませんね。

この研究の成果は、堤防や避難ビルの設計、ハザードマップや避難誘導ガイドラインの開発などに活用でき、信頼性の高い防災対策や減災対策に役立てられます。

昨年、震災から3カ月ほどたったとき、多忙を極める今村先生にインタビューしたことがありますが、太平洋の沖合で発生した津波が日本列島に到達するまでの解析には、地球の自転による「コリオリの力」も考慮しているとおっしゃっていました。まさに地球規模の解析になりそうです。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »