鉄筋まるごとBIM化!「バーチャル竣工」がさらに進化中
2012年3月23日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が詳細設計や施工分野まで広がっていくにつれて注目を集めているBIMソフトが、「Tekla Structures」です。

複雑な鉄骨や鉄筋コンクリート構造物を、柱と梁を接続する仕口の詳細構造から鉄筋、ボルトに至るまで詳細に3次元化しても軽快に動くパワーが売り物です。

このソフトのベンダーであるテクラは、昨日(3/22)、東京で「テクラ・ユーザーデイ2012」というイベントを開催し、竹中工務店の森元一氏による基調講演や、最新バージョンである「TeklaStructures18」の新機能紹介などを約5時間にわたって行いました。

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「テクラ・ユーザーデイ2012」の会場(左)と竹中工務店の森元一氏による基調講演(右)(写真:家入龍太。以下、同じ)

Tekla Structuresはフィンランドで開発されているソフトですが、日本ユーザー向けの機能を独自に開発し、提供しています。驚いたのは、設計上でしばしば必要となる

 

ちょっとした操作

 

を効率的に行うことに対するあくなきこだわりでした。

例えば、I桁の接続部でフランジ上のボルトを自動的に「千鳥」配置にしたり、鉄骨を鉄筋が斜めに貫通するときに「日本仕様」の長孔を自動作成したりといった機能です。

鉄筋貫通孔を作成するツールについては、これまでは鉄筋と同心円状の孔を開けていたのを、鉄筋が孔の下側に接するように「オフセット」させる機能も付きました。さらに構造設計ソフトで作成した鉄筋コンクリート構造物のモデルを、Tekla Structuresのモデルとしてインポートできる機能も追加されました。

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フランジ部分のボルトを自動的に「千鳥」配置にする機能(左)。構造設計ソフトから鉄筋までをTekla Structuresのモデルとしてインポートする機能(右)

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鉄筋貫通孔ツールの改良。従来は鉄筋と同心円状に孔を開けていた(左)が、オフセット機能で鉄筋が貫通孔の下端に載るようにモデル化できるようになった(右)

ユーザーの希望でこうした機能を追加しているそうですが、設計中に何回も行う操作を少しでも短時間で行えると、トータルの設計時間も相当、減るでしょう。

会場は約100人のユーザーで満員でした。最後まで熱心にメモを取りながら受講している姿から、Tekla Structuresの最新機能を少しでも使いこなして作業効率を上げようという熱意がひしひしと感じられました。

さて、基調講演を行った森氏は、昨年8月に東京の早稲田大学で開催された日本建築学会大会で、BIMモデルで鉄骨部材を詳細に入力し、施工シミュレーションを行って施工可能性を確認する「バーチャル竣工」という手法で注目を集めました。

そのバーチャル竣工が今年、さらに進化しているのだそうです。今年の秋に着工するプロジェクトは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

鉄筋すべてを入力

 

したBIMモデルを作り、鉄筋の干渉チェックまでを含めた「バーチャル竣工」を行うとのことです。

森氏は先日、フィンランドの大手建設会社「スカンスカ社」や、オーストリア、ドイツのBIM対応鉄骨工場を視察し、BIMモデルを活用した自動加工に驚いたそうです。その体験が、今回のチャレンジに結び付いているようでした。

日本のBIMもさらなるディテールを追求する時代に入ってきたようですね。会場では、日本ヒューレット・パッカードのワークステーションなども展示され、来場者の注目を集めていました。

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スマートフォンのように2本の指で拡大・縮小、移動などの操作ができるタッチパネル型パソコンでは、BIMモデルビューワー「Tekla BIMsight」をデモ(左)。“Yesterday's Beauty”は、日本ヒューレット・パッカードの小泉薫さん(右)

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