管理人のイエイリです。
米国のサンフランシスコでは、3月27日~28日の2日間、オートデスクの「メディアサミット2012(Autodesk Media Summit 2012)」が開催されています。
私のような建設ブロガーから、「ENR」や「日経ものづくり」、「a+u」などの記者・編集者、さらにはテレビ局まで、日米や各国のメディアが大集合するイベントです。
冒頭には、なかなかお目にかかる機会のない米国オートデスクの社長兼CEOのカール・バス(Carl Bass)さんが、オートデスクが推進するクラウド戦略
「Autodesk 360」
について講演するのを最前列で聞くことができました。
オートデスクのクラウド戦略について熱弁を振るう米国オートデスク社長兼CEOのカール・バスさん(写真:特記以外は家入龍太) |
会場を埋めた各国の報道関係者 |
オートデスクでは高性能のコンピューターを必要とする高画質のレンダリングや、構造解析や流体解析、エネルギーシミュレーションなどのサービスをクラウド上で提供しています。
そのユーザー数は急激に伸び続けているそうです。例えば、2年前に公開したクラウド版の「AutoCAD WS」は既に700万人のユーザーを獲得し、1時間に1800もの図面ファイルがアップロードされています。
また、意匠設計用BIMソフト「Revit Architecture」などの3Dモデルを高画質でレンダリングするサービスの利用数も毎月20%のペースで伸びているそうです。
オートデスクがクラウドに取り組む切り口は3つあります。1つめは「Find」(探す)、2つめは「Connect」(つなぐ)、そして3つめは「Crunch」(計算処理)です。プロジェクトのデータを素早く探し出し、関係者とコラボレーションし、計算時間のかかるシミュレーションなどを代行する、というイメージです。
各ソフト間でのBIMモデルデータなどを自動的にソフトからソフトへと受け継いで処理を進めていくため、「Automated Workflow」というソフトも製品化されています。
スマートフォンやiPadなどの携帯端末はおもちゃではない。クラウドと連携することで、これまでのパソコンを上回るパフォーマンスを発揮するツールなのだというメッセージを強烈にアピールしていました。
「Autodesk 360」戦略では、計算パワーが必要なシミュレーションや解析をクラウドで行えるようにすることも大きな柱となっている |
このほか、注目したい動きとしては、BIMソフト「Revitシリーズ」の統合です。これまでは意匠設計用の「Revit Architecture」、構造設計用の「Revit Structure」、設備設計用の「Revit MEP」の3本に分かれていましたが、これらのソフトを「Revit」に統合した製品も登場しました。
統合された「Revit」は、複数のBIM用ソフトがセットになった「Building Suite」の「Premium版」と「Ultimate版」に同梱されます。「Architecture」「Structure」「MEP」はメニューにある「タブ」によって切り替えます。
意匠、構造、設備が1本化された「Revit」。「Architecture」のタブがクリックされているときのメニューには壁やドア、窓などのコマンドが表示される |
タブを「Structure」に切り替えると、メニューも梁やトラスなどに変わる |
タブを「Systems」に切り替えると空調ダクトなどのコマンドが表れる |
オートデスクが取り組む研究開発の発表もありました。その1つは、現実の空間をデジタルデータとしてコンピューターに取り込む技術です。
3Dレーザースキャナーや写真計測などが思い浮かびますが、同社では最近、安価になった3Dレーザースキャナーと写真計測を組み合わせることで、高精度の3Dモデルを簡単に作れるようにする技術開発を行っています。
その秘密兵器として、建物周辺を飛び回って写真を撮る
8ローターのヘリコプター
も公開されました。
当コーナーでも、「連続写真を3Dモデルに変換!オートデスクのクラウド『123D Catch』」という記事で紹介した機体です。
私は思わずオートデスクのエンジニアに許可をいただき、手に持ってみました。ちょっとずっしり感があり、安定した飛行をしそうな感じでした。
写真撮影中の8ローターヘリ(写真:YouTubeより) |
報道陣に公開された8ローターヘリを持たせてもらった私です |