激しい津波を3Dで再現!清水建設の津波総合シミュレーションシステム
2012年4月20日

管理人のイエイリです。

東日本大震災の巨大津波は、防波堤や建物などに想像を超えた被害をもたらしました。今後は、東海・東南海・南海地震によって発生が予想される巨大津波への備えが求められています。

こうした津波による被害を軽減するため、清水建設は、建物などに作用する津波荷重を詳細に予測できる「津波総合シミュレーションシステム」をこのほど開発し、実用化しました。

津波が陸上を遡上(そじょう)して建物などに衝突したり、建物内に侵入したりする様子を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3次元で高精度に再現

 

できるのが特徴です。

これまで、津波荷重の評価には2005年に内閣府が策定した「津波避難ビル等に係るガイドライン」に示された簡単な算定式がよく用いられてきました。

これは津波による浸水深の3倍の静水圧が建物に作用することを想定したもので、津波の衝撃力や建物内部で発生する津波荷重などは十分、考慮されていません。また、津波荷重は地形や建物の3次元形状によっても影響を受けます。

津波総合シミュレーションシステムは、津波が防波堤を激しく打ち上がりながら乗り越え、建物に衝突するといった一連の複雑な現象を3次元で再現し、その現象に基づいて津波荷重を解析できるので、より正確な荷重を算定することができます。

 20120420-image1.jpg

津波荷重を3次元で解析できる「津波総合シミュレーションシステム」(資料:清水建設)

波しぶきが上がるような津波の挙動を解析するために、タンク内の液体が地震動で揺れるスロッシング現象などの解析に用いられる「VOF(Volume Of Fluid)法」という流体解析手法を導入しました。

建物や地形を含む大規模な3次元モデルを作成するために、清水建設が風環境解析などで蓄積してきたモデル化技術を使っています。地形と建物の2種類の3次元データを組み合わせて1つのデータを作り、これに様々な大きさの「メッシュ」と呼ばれる解析ポイントを自動設定することで、解析の精度と効率を両立させています。

とはいうものの、広い範囲を対象に、津波の遡上などの挙動を3次元で解析することは、並大抵のコンピューターでは不可能です。

そこで同社が培ってきた高速演算技術のほか、東京工業大学の有名なスーパーコンピューター

 

TSUBAME2.0

 

を利用することで解析が可能になりました。

このシステムは、複数の断層が時間とともに破壊したり、連動して破壊したりという様々な条件を設定しながら、津波が海の上を伝わっていく様子を解析する機能も備えています。そのため、最も津波高が高くなる場合を想定した対策の立案も可能です。

建築界で普及が進んでいるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、最近、構造解析でもBIMモデルが使われるようになりました。今後は3次元の津波荷重解析ともBIMが連動して、津波に強い形状や構造の建物を設計できるようになる日も近そうですね。

 

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